FCVはインフラ先行で展開…規制緩和が急務

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4月19日にオープンした、日本初のガソリンスタンド併設型水素ステーション
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神奈川県海老名市に4月19日にオープンした水素ステーションの大きな特徴は、日本初となるガソリンスタンド一体型であることと、商業化も見込んだ実験施設であることだ。水素燃料電池車(FCV)の普及を後押しするために、同様の施設が2015年までに約100ヵ所作られることになっている。

気になるのは、その後の展開だ。水素燃料電池車の黎明期においてはインフラを整えたところで利用台数が限られるから採算ベースに乗せるのは厳しい。しかし、インフラの整備なしに水素燃料電池車が普及するというのも考えにくい。

HySUT(水素供給・利用技術研究組合)でFCV・インフラ実証部の副部長を務める山梨文徳氏は「水素ステーションの展開が先です」と断言する。

また、実際に水素ステーションを設置する側であるJX日鉱日石エネルギー(ENEOS)の研究開発本部広瀬正典氏も「十分議論をしましたが、インフラのない環境にFCVを使う人は現れないというのが結論です。まずは車両に先行し(業界全体で)100ヵ所で整え、その後はFCVの普及の様子を見ながら」という。

しかし「そのためにはさらなる規制緩和が必要」と山梨氏。

たとえばガソリンスタンド併設をはじめて実現した海老名市の施設だが、ガソリンと水素の計量機が同じ敷地内にあるものの、場所はやや離れている。これはガソリンと水素の設備を8m以上離し、クルマを止める場所も分けなければいけないという基準があるからだ。また、クルマをとめる位置を示す枠もガソリン給油のクルマは黄線、水素充填車両は白線という定めもある。こぼれたガソリンが水素計量機まで届かないように、計量機や車両周囲の地面に溝を掘ることも求められる。そのため、現在の規制ではガソリンスタンド併設の水素ステーションを開設できるのは広い敷地を持つ店舗に限られるのだ。

「将来的には同じ計量機でガソリンも水素も供給できるようにしたい。そのためにはさらなる規制緩和が必要である」と、山梨氏も廣瀬氏も強く主張する。

ちなみにドイツなどでは日本と規制が異なり、すでに同じ計量機からガソリンも水素も供給できる施設が実現している。また、車両に接続するノズルの形状も安全基準の違い(日本の法令で求められる安全強度は4倍、世界では2.25倍が主流)により海外では日本よりもコンパクトかつ軽量で、より扱いやすくなっているのが現状だ。

《工藤貴宏》

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