多重事故を起こした男性にてんかん発作の自覚なし、不起訴処分に

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昨年7月、愛知県岩倉市内で発生し、8人が死傷した多重衝突事故について、名古屋地検一宮支部は2月28日までに、自動車運転過失致死容疑で逮捕・送検されていた79歳の男性を不起訴とした。本人が自覚していないてんかん発作の症状があったという。

問題の事故は2011年7月10日の午後2時ごろ発生している。岩倉市大地新町付近の県道(片側2車線の直線区間)を走行していた乗用車が前走車と接触後、止まらずに進行を続けて信号待ちの車列に突っ込み、車両9台が関係する多重衝突に発展した。

この事故で車列最後部の軽乗用車が大破。運転していた39歳の女性と、同乗していた9歳の男児が死亡。他のクルマに乗っていた6人が軽傷を負った。警察は後に衝突側のクルマを運転していた78歳(当時)の男性を自動車運転過失傷害の現行犯で逮捕したが、男性は事故直後から「どうして事故が起きたのかわからない」と供述。事故を起こした記憶自体も無かった。

地検は処分保留で男性を釈放した後、在宅のまま任意で調べを続けてきたが、男性が最初の接触事故直前にてんかん発作の症状を起こし、意識を失った状態でクルマを暴走させていた可能性が高くなった。

しかし、男性にはてんかん発作の自覚が無く、そうした持病があることも認識していなかった。地検では「発作の予見性は困難だった」と最終的に判断。嫌疑不十分を理由として不起訴処分にしている。

《石田真一》

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