米国のEVベンチャーとして急成長中のテスラモーターズ。同社が英国BBCの人気自動車番組、『Top Gear』を提訴したことが判明した。
これはテスラモーターズが30日に明らかにしたもの。『Top Gear』といえば、自動車に対する辛口評論で知られるが、『Top Gear』がテスラを怒らせた理由は何だったのか。
問題の発端は2008年12月、『Top Gear』が放映したテスラのEVスポーツカー、『ロードスター』のテストレビューにある。「この日の放送で『Top Gear』は、ロードスターに関して視聴者に誤った情報を伝えた」というのがテスラの主張だ。
『Top Gear』のテストレビューでは、ロードスターは満充電でわずか88kmしか走行できなかったとされる(テスラの公表値は340km)。そしてバッテリーが上がったロードスターを、4名の大人が押すシーンが放映された。視聴者にすれば、「ロードスターは信頼できない」となるのは当然だろう。
テスラは放映後、直ぐに『Top Gear』に対して、「88kmの航続距離はサーキットでの全開走行を繰り返した結果であり、明らかに通常の使用条件とかけ離れている」とクレームを申し立て。また、『Top Gear』が放送で指摘した駆動系のトラブルに関しては、返却された2台のロードスターを徹底分析した結果、「放送で指摘されたような駆動系のトラブルは起きていない」ことを明らかにした。
例えば1台のロードスターは、「モーターが焼き付きを起こして走行不能になった」と放映されたが、これはイモビライザーが作動した結果だったことが判明。また各種走行テストでは、オンボードのデータロガーの不具合で、本来の数値とは異なる記録が計測されたという。
テスラは「放送によって、視聴者にロードスターに関する誤った情報を伝えた」として、『Top Gear』に対して、記録の訂正とネット上などでの映像公開を行わないよう求める内容証明を送り続けてきた。しかし、『Top Gear』サイドはこれを無視。そこで、テスラはオンエアから2年以上を経た2011年、『Top Gear』を提訴するに至ったのだ。
今回の提訴について、『Top Gear』の広報担当者は、「断固として争う」とコメントしている。