クルマのサスペンションは代表的な例として、クルマにはたくさんのスプリングが使われている。その多くはコイルスプリングで、ばね鋼を線材としてコイリングマシンで巻いて成形するのが一般的だ。ところが…。
テクノフロンティアの会場内を歩いていたところ、見慣れない形状のバネを発見。コイルスプリングには違いないが、表面が平坦でバネの断面が四角い、鋭く角張ったスプリングなのである。
三木プーリのマシーンドスプリングは、金属の塊から削り出して成形する、超高精度スプリング。パイプの母材にらせん状の切り込みを入れることでスプリングとして機能させるという、ユニークな構造のバネなのだ。
外径や全長などの寸法が高精度で追求できるほか、金属塊からの削り出しなのでバネとしての特性もほぼ計算通りの理想的な数値が追求できるそうだ。しかもコイル状に巻き難かった素材も削り出すことでバネとして利用できる。超硬度なステンレスやチタン、アルミ合金のバネも製作可能だとか。
さらに削り出しということからバネの上下に備わるブラケットを一体で作ることが可能。コイルスプリングの特性上、伸び縮みするとバネ上下にねじれの力が発生するが、マシーンドスプリングは上下に逆巻きのバネを組み合わせることで、ねじれを打ち消して上下動するバネにすることもできる。通常のコイルバネを重ねて使うように、1本のバネに最大3条までのバネを組み合わせることも可能だとか。
航空宇宙産業や医療機器などのほか、レーシングカー(インジェクター?)にも一部利用され始めていると言う。サスペンションのような大荷重には向いてなさそうだが、用途を限定すれば従来にはない部品や機能が生まれそうだ。
(テクノフロンティア:日本能率協会は7月21〜23日、東京ビッグサイトにおいて、「TECHNO-FRONTIER 2010」の総称のもと、専門展示会・技術シンポジウム・大会を開催する。エレクトロニクス、メカトロニクス分野における国内最大規模のイベント)