【池原照雄の単眼複眼】国内市場、3月の動向で「底」が見えてくる?

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今年1-2月累計は、わずかだが水面上に

3月は、ズルズルと後退を続けてきた国内新車市場の今後の動向を展望するうえで重要な月となりそうだ。軽自動車を含む全体需要は、今年1 - 2月で、ごくわずかながらプラスに転じている。3月も同じ傾向になれば、当面の底打ち感が出てくる。

国内の全需は、2006年4月から昨年12月まで21か月にわたって前年同月実績を下回っていた。登録車の長期不振に加え、06年は過去最高だった軽自動車も新モデル効果の退色や「規律ある販売」への取り組みで、昨年から息切れ状態になっているからだ。

今年になって、そうした状況に変化の兆しが見えてきた。1月の全需は22か月ぶりに前年を1.4%上回った。2月は再び0.5%のマイナスに陥ったものの、この2か月の累計では0.3%増とわずかではあるが、水面上に顔をのぞかせている。

◆新モデル効果が出てきた登録車

軽は減少が続いているが、需要の3分の2を占める登録車は2か月続けてプラスとなっている。日本自動車販売協会連合会のトップに就任したばかりの天野洋一会長(群馬日産自動車社長)が期待する07年度ベースでのプラス転換は、ちょっと厳しそうだが、3月も昨年実績を上回るようだと、ドロ沼の底がようやく見えてくることになろう。

登録車市場の変化は、やはり新モデルの効果が大きい。ホンダは昨年10月に同社の最量販車である『フィット』を全面改良したが、11月以降の登録車販売は12月(8%増)を除いて2月までいずれも2ケタの高い伸びとなった。2月は新モデル効果が出ているマツダや富士重工業も市場を上回る伸びとなった。

一方、登録車シェアの45%以上をコンスタントにキープするトヨタ自動車がここ3か月、前年比でマイナスとなっていることが、依然として市場の厳しさを映し出している。だが、トヨタも今月は高級車のベストセラーである『クラウン』の新モデルがフルに寄与する。

◆期待できるクラウンの上乗せ効果

クラウンはモデルサイクルで月5500台の販売計画だが、「立ち上がり1か月の受注は1万1000台を目指す」(渡辺捷昭社長)と、計画の2倍を見込んでいる。同社の『ヴィッツ』やホンダのフィットなど、量販コンパクトカーとは競合しないカテゴリーであり、全需への上乗せ効果が期待できる。

軽自動車は、昨年3月がすべての月間で過去最高を記録しているため、プラスに転じる可能性は低い。ただ、進学や就職期を控えて最も軽需要が膨らむ月であり、大幅な落ち込みという事態も回避できそうだ。

仮に3か月続けて全需がプラスに転じても、中長期で見た国内市場の困難さの基調は変わらない。まさに「市場創造型」(渡辺社長)の商品開発や売り方の追求を地道に続けねばならない。

《池原照雄》

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