昨年11月、北海道札幌市西区内の市道で、脚立に乗って高所作業していた男性に対して飲酒運転の自転車が衝突。男性が死亡した事件で、重過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた22歳の男に対する判決公判が2月27日、札幌地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪判決を命じている。
問題の事故は2005年11月5日の午前9時15分ごろ発生している。札幌市西区琴似3条1丁目付近の市道で、この市道に隣接するマンションに住む77歳の男性が歩道に立てた脚立に乗って枝払い作業を行っていたところ、20歳代とみられる若い男の乗った自転車が脚立に衝突。弾みで脚立が転倒し、男性は約80cmの高さから転落した。他の住民が男性を介抱している間に自転車の男は逃走。男性は病院に収容されたが、事故から3日後に脳挫傷で死亡している。
警察では自転車による死亡ひき逃げ事件として捜査を開始。事件が大きく報道されたこともあり、男性の死亡翌日にあたる11月9日に幕別町に住む22歳の男が出頭。容疑への関与を認めたため、重過失致死と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕した。事故当時は酒に酔った状態で、自転車は他人のものに無断で乗っていた。
2月27日に行われた判決公判で、札幌地裁の遠藤和正裁判官は「他人の自転車を無断運転し、歩道上の前方注意を怠ったことは言語道断。事故を起こす直前まで友人らと夜通し飲酒しており、これが原因となった悪質な犯行だ」と認定した。しかし、被告が自首していることや、大学を退学処分となり、さらには就職内定も取り消されたこと、慰謝料の支払いを約束しているなどの理由から情状の酌量は認め、被告に対して懲役2年6カ月(執行猶予3年)の有罪判決を命じた。