日立製作所と日立ビークルエナジーは、リチウムイオン二次電池に使用する電池制御装置を従来比で10分の1に小型化する専用制御ICを共同開発したと発表した。
新開発ICを搭載することで、燃料電池自動車やハイブリッド電気自動車など、省スペースでの搭載が求められるリチウムイオン二次電池システムの小型化の実現が可能になる。
今回のICを搭載した制御装置は、車載用リチウムイオン二次電池モジュールに搭載し、6月からサンプル出荷する予定。
燃料電池車やハイブリッドカーなどに搭載する車載用リチウムイオン二次電池は、単電池を数十から数百個ほど直列に接続した電池モジュールで、各単電池は、経時変化や個体差で性能が変化するため、電池制御装置が必要となる。
しかし、高精度な単電池電圧測定回路や各単電池間で生じる充電レベルのずれを補正するバランシング回路など、数多くの回路を搭載しているため、回路基板の小型化には限界があった。
今回、日立と日立ビークルエナジーは、電池制御装置の電圧検出回路部やバランシング回路部など、主要な回路部のIC化を実現するとともに、IC間の絶縁が不要な高耐圧絶縁レス通信回路を開発し、低コスト化の障壁となっていた絶縁部品を不要にした。
これにより、電池制御装置の部品点数や高価な絶縁素子を削減することが可能となり、装置全体では、従来比8分の1の低コスト化、10分の1の小型化を実現した。
車載時の設置スペースが小さく、軽量のため、燃料電池車やハイブリッドカーのバッテリーシステムへの適用以外にも広範な分野への応用展開が可能としている。