クルマを題材にしたゲームソフトは、これまでもたくさんリリースされてきた。しかも、そのどれもが「まるで実車をドライブしているような」とか「クルマの挙動をリアルに再現」といううたい文句ながら、実際に試してみるとガッカリさせられることが少なくない。デモ画面を見ている限り、画質もキレイで本物ソックリに映し出されているのに、プレイしてみると、デモ画面とのギャップがあまりにも大きい場合も。頭で思い描いているとおりに、画面上のクルマが反応してくれない…、やはりこのあたりがゲームと実車の克服できない壁なのだろうか。
いわゆる“ドライビングシミュレーター”と呼ぶにふさわしい実力のあるソフトは、今もっても数は少ない。ただ、プレイする側からすれば、リアルなソフトがどんどん増えて欲しいことには変わりはないわけで、それがクルマ好きとなれば、なおさらのことだ。
そんななか、鳴り物入りで登場するのがマイクロソフト・ゲーム・スタジオから5月12日に発売される、『Forza Motorsport(フォルツァ・モータースポーツ)』だ。「Xbox」専用のレーシングシミュレーターとして、アメリカのマイクロソフト社内で基礎開発された入魂の一作。一般的なドライビングゲームと大きく違うのは、膨大なゲームデータの高速処理が可能なXbox用にプログラミングされているところにある。クルマの挙動の解析や高精細な画像処理だけでなく、マイクロソフトのAI(Artificial Intelligence/人工知能)部門のエキスパートをスタッフに加えたことで、ライバル車の動きなども含めてより実車のドライビングに近い疑似体験ができるようになっている。
実車からのサンプリングによるリアルなエンジンサウンドはもちろんのこと、トーヨータイヤからの全面的な技術支援を得て完成した走行フィーリングは、従来型のドライビングシミュレーターゲームとは明らかに一線を画するレベルに仕上がっている。ちなみに、マイクロソフトの開発チームは、ル・マンなどのレースイベントにおいてピットでの取材活動を行うことで、サスペンションのセッティング方法など、実戦でのナマの情報を大量に収集。そこで得た知識や手法はゲームのコンテンツとしてしっかりと生かされているという。
その集大成ともいえるのは、フェラーリF1チーム所属のエンジニアを招き入れたこと。高速走行で重要な空体力学と、クルマの挙動を決定づけるサスペンションのシミュレーションを、現役エンジニアが協力しているのだ。これにより、技術精度は格段にアップした。