2004年5月、福岡県福岡市で自転車同士が正面衝突して1人が死亡した事故を起こしたとして、重過失致死罪に問われた40歳の男に対する判決公判が11日、福岡地裁で開かれた。
裁判所は被告に対して禁固1年2カ月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。
問題の事故は2004年5月13日未明に発生した。同日の午前0時30分ごろ、福岡市中央区平尾付近の市道で自転車同士が衝突。乗っていた人が路上に投げ出された状態で発見された。
一方の当事者である27歳の男性は病院に収容されたが、頭を強打したことが原因で間もなく死亡。
もう一方の当事者である39歳(当時)の男も頭を強打しており、一時的な記憶喪失の状態に陥っていたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の適用は見送られたが、無灯火および道路右側を走行していたことは重い過失に当たると判断。重過失致死罪で起訴されていた。
11日に開かれた判決公判で、福岡地裁の松藤和博裁判官は、被告が道路右側を走行していたことや、無灯火だったことに触れて「帰宅を急ぐあまり、無灯火で前をよく見ずに道路右側を走るなど、交通ルールを幾重にも破り注意義務違反の程度は大きかった」と、被告に重い過失があることを指摘した。
だが、その一方で「死亡した被害者は無灯火以前の問題として自転車に前照灯の装備をしておらず、事故当時には携帯電話を操作しながら運転していたとみられる」と指摘。過失は双方に生じており、両者が慎重さを欠いたことによって事故に結びついたと結論付けた。
こうした事情を勘案し、裁判所は被告の過失責任を認めながらも、そのすべてを負わせるのは酷だと判断。被告に対して禁固1年2カ月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡している。