「ユニークで市場で存在感のあるコンパクトカーを作りたかったんです」とコルト『プラス』のコンセプトについて語るのは、吉松広彰さん(三菱自動車商品企画本部FF系開発センタープロジェクトマネージャー)。
「コルトプラスのユニークな点は、ユーティリティの使い勝手のよさと、クラスで唯一のターボエンジンを搭載している点に表現されています。フロントまわりは『コルト』と共通ですが、リアに関しては優雅さを感じていただけるワゴンボディになっていると思います」
コルトプラスのデザインはリアドアとルーフまではコルトと共通デザイン。そしてリアのオーバーハングを300mm延長することで、コルトに比べ270mmの荷室長拡大に成功している。
ほかにもこのクラスでは初のキーレスエントリーでも操作ができる、電動テールゲートを全車に標準装備したり、ラゲッジルーム側からリアシートのバックレストを可倒できる、ワンタッチフォールディングシートを装備するなど、ユーティリティに関しては日常の使い勝手を重視した内容を持っているといえるだろう。
また、今回コルトも同時にマイナーチェンジを実施し、押しの強かったフロントマスクが、コルトプラスと同じオーソドックスなグリルのデザインに変更された。このデザインについて吉松さんは「フロントまわりについては親しみやすく、コルトということがわかりやすいデザインにしたかったんです」とコメント。
以前のフロントはコンパクトカーとしては、三菱のエンブレムを強調しすぎているという意見も多かったため、今回はだいぶスッキリとしたデザインが採用されたようだ。
リコール問題が発覚し、逆風のなかで開発を進めざる得なかったコルトプラス。結果的にはコルトをベースとし、エンジンもドイツから輸入するということにはなったが、それが最良の選択だったことが実際に試乗して理解することができた。加えて、クルマを作り上げた開発者の言葉にも迷いは感じられなかったことに、明るい兆しが見えた気がする。今後も厳しい状況が続くと予想されるが、生まれ変わった三菱の今後のクルマ作りにも期待したい。