はたらくクルマを無資格のまま扱う人が5000人

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和歌山、大阪の両労働局は8日、重機を操作する運転技能者資格(国家資格)取得のための技能講習を行っているコマツ教習所・和歌山センターの元所長と元副所長が、実際には技能講習を受けていない約100人に講習の修了証を不正交付していたことを明らかにした。

和歌山労働局は両者を労働安全衛生法違反容疑で書類送検し、大阪労働局は元所長を詐欺と虚偽公文書作成の容疑で大阪府警に告発している。

和歌山、大阪の両労働局の調べによると、この元所長は1999年から2002年に掛けての3年間に、取引のある業者からの求めに応じて、実際には重機操作の技能講習を受講をしていない約100人に対し、帳簿上は「受講した」と偽り、技能講習の修了証を発行していた疑いがもたれている。

また、受講はしていたものの、指定された時間よりも短い時間で修了させたこともあり、受講時間不足は5000人を超えていた。2001年と2002年の2年間に講習を受けた人のうち、およそ8割は受講時間不足のまま修了証を受け取っていたとみられる。

重機の運転資格は国家資格となっている。例えばクレーン車の場合、これを動かすには運転免許証の他、移動式クレーン運転士免許実技教習を受けて専用の免許を取得する必要がある。

不正は常態化しており、実際にこれを行なったのは和歌山センターの元所長だったが、この2人は大阪センターの教官も兼務しており、実際には両センターで不正が行なわれていた。

修了したと偽り、大阪センターからも62枚の修了証を騙し取っていた疑いもある。短い時間で修了証が得られるため、口コミで業者間に噂が広まり、それを持ちかけてくる業者も少なくなかったとみられる。

両労働局では「不正な交付を受けた人物の資格を無効にする」としており、今後は修了証の返還も求めていく方針だ。さらには無資格で重機を操作したともみなし、こうした人物に対しても労働安全衛生法違反容疑で調べを進めていくという。

《石田真一》

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