ホンダ 野村常務、二輪でも「カーボンニュートラルを目指し、業界をリードしていく」

ホンダ二輪事業の取り組み:グローバル電動車ラインアップ
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ホンダは9月13日、二輪事業に関する説明会を開催。2030年に世界販売の15%に当たる350万台をEVバイクにすると発表した。ホンダが二輪で脱炭素の具体的な戦略を示したのは初めてだ。

二輪事業を担当する野村欣滋常務執行役員は「電動化を中心とし、ICE(内燃機関)のCO2削減にも具体的に取り組み、2040年代にすべての製品でのカーボンニュートラルを目指し、引き続き環境トップランナーとして業界をリードしていく」と述べ、EVバイクを積極的に投入していくとともに、ICEの燃費改善やカーボンニュートラル燃料に対応したモデルも投入していく考えを示した。

ホンダのEVバイク販売は現在、年間10万~20万台で、全体の1%にも満たないが、それを26年までに100万台、30年には全体の15%である350万台まで増やす。そのために、まず25年までに10モデル以上の新たなEVバイクを投入する。

また、全固体電池を充電時間短縮などに利点があることから二輪にも使う計画だ。現在、四輪向けに20年代後半の実用化に向けて開発や実証を進めているが、その全固体電池を二輪にも活用していく。

しかし、二輪は四輪に比べてEV化は難しい。なにしろ車体は四輪に比べて格段に小さいので、バッテリーを多く積むことができないし、また、高価なバッテリーによって車体価格が高くなってしまうとユーザーに受け入れてもらえないからだ。

そこで、カーボンニュートラル燃料に対応するモデルの開発にも取り組んでいくことにしたわけだ。具体的には、E100燃料(バイオエタノール比率100%)対応モデルをすでに発売済みのブラジルに加えて、23年以降にインドでも投入していく。

「二輪車は、小型のコミューターから大型FUNモデルまでのモデルラインナップで、新興国から先進国までと、非常に幅広い市場で展開しており、多様なお客様のニーズに応える必要がある」と野村常務。

ホンダの21年度の二輪販売台数は1700万台で、世界シェアは約30%を誇る。しかも、営業利益率は14%超で、ホンダの営業利益の3割強を稼ぎ、四輪事業よりも多い。ただ、二輪の販売台数の8割強をインドやインドネシア、ベトナムなどのアジアが占めている。

そのインドでは、政府が電動車の普及を後押しする政策を打ち出し、現地メーカーによる電動スクーター工場の建設が相次いでいる。また、中国や台湾のEVバイクメーカーもホンダの牙城を崩そうと虎視眈々と狙っている。

現在、二輪車市場全体に占めるEVバイクのシェアは3~4%と言われているが、販売は年々増えている。ホンダとしても、EVバイクでも業界をリードしていかなければ、二輪車首位の座も危うくなる。


《山田清志》

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