日野自社長「トヨタグループいるだけでは問題解決は難しい」…VWとの提携で勝ち残りを目指す

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日野自動車の下義生社長(左)とVWトラック&バスのアンドレアス・レンシュラーCEO
  • 日野自動車の下義生社長(左)とVWトラック&バスのアンドレアス・レンシュラーCEO
  • 日野自動車とVWトラック&バスの共同会見の様子
  • 日野自動車の下義生社長
  • VWトラック&バスのアンドレアス・レンシュラーCEO

日野自動車と独フォルクスワーゲン(VW)トラック&バスは4月12日、トラックなど商用車分野で包括的な提携に向けて協議に入ると発表した。両社の経営トップが参加するアライアンス委員会を立ち上げ、グローバル競争での勝ち残りを目指す。

日野自動車と言えば、トヨタ自動車が50%超出資する子会社で、これまでにトヨタから何人もの経営陣が派遣されてきた会社だ。しかも、トヨタはVWと世界1の自動車メーカーを争っている。そんな両社の子会社がなぜ提携に向けて協議に入ることになったのか。業界内には、日野がトヨタグループから離れるのではないかという穿った見方も出ている。

それに対して、日野の下義生社長は「トヨタ自動車との関係は今後もまったく変わることがない。技術面や人材育成、技術の高いサプライヤー供給などの面でトヨタグループである強みは大きい」と強調。しかし、こう付け加えた。

「商用車が抱えている課題はトヨタグループにいるだけでは解決するのは難しい。VWトラック&バスとは深刻なドライバー不足など商用車が直面している危機感を共有している。トヨタからは『ぜひ進めてほしい』と言われている」

一方、VWトラック&バスのアンドレアス・レンシュラーCEOも非常に乗り気で、「新規分野、伝統分野にかかわらず、さまざまな領域でコラボレーションを探求していく。われわれが有する商用車向けの情報をやりとりできるクラウドプラットフォーム『RIO(リオ)』もその1つで、日野にも生かせる可能性があれば、参加してもらいたい」と話す。

乗用車でトップを争う親会社を持つ両社といえども、単独で生き残るのが難しくなってきているのだ。世界中で加速する環境規制への対応、自動運転や安全機能の充実など、乗用車以上に早急に取り組まなければいけない状況になっている。

「私は2017年6月に社長就任した当初から商用車か抱える課題をなんとかしなければならないと感じていて、やっていく上で仲間が必要だった。VWグループと一緒にやることで、より早く提供できるということが何よりのモチベーションとなった」と下社長は説明する。

今後、両社はEVトラックや自動運転など将来に向けた技術開発や調達など幅広い分野での協業や、物流や販売面では日野が得意とするアジアとVWトラック&バスが得意とする欧州のなどの地域を補完し合うことも検討する。

《山田清志》

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