フォークリフトはパレットに積み上げた荷物をトラックや倉庫に運ぶ、物流界にはなくてはならない働くクルマである。そこに求められるのは堅牢さと荷揚げ能力のみ。
なのに、産業交流展2017の同和鍛造のブースには、何とチタン合金製のフォークリフト用ブレードが展示されていた。同社はチタンやニッケル系の特殊合金の鍛造成形を得意とする企業で、創業は1938年と戦前からの老舗でもある。
小型のフォークリフト用のフォークは、価格競争で中国製品には敵わないそうだ。そのため同社は大型フォークリフト用のフォークを自由鍛造で製作する方に注力している。
今回展示していたのは、小型フォークリフト用。チタン製とすることで前部が軽くなり、荷揚げ能力が高まるのかと思い質問してみると、チタンで製作したフォークは、値段のケタが1つ上がってしまうため、とても販売できるような代物ではないそうだ。
では、なぜチタン製のフォークを? それはチタン合金でも加工が難しい6-4チタンを鍛造で、フォークの形に仕上げられる技術力をアピールするため。長年の鍛造におけるノウハウが、このチタン製フォークに詰まっているのだ。
同社ではこの他にもジェットエンジンやガスタービンの内部に使われる耐熱合金の部品を鍛造で成形しているほか、化学プラント用の耐薬品性の高いステンレス鋼などの部品を供給しているそうだ。