レスポンスがオートデスクの協力を得て10月21日に開催した『IMPRESS3D JAPAN 2016』。無料で行われたこのセミナーでは、オートデスク「VRED」を使用した3Dビジュアライゼーションについて各専門分野の識者から自動車ビジネスと自動車マーケティングにおける最先端のトレンドと、今後の展開についての情報が語られた。また、スポンサー9社(一覧は記事下に記載)がブースを設け、各社の注力製品を展示した。昨今自動車業界でも注目が集まるVR(仮想現実=バーチャルリアリティ)を活用した展示も多数あり、参加者は3Dビジュアライゼーションされたデータに触れることで、その有効性や発展性を自らの視覚を通して確認し、各社展示ブースも大いに賑わいをみせた。 そして講演においては、オートデスクのほか、E-グラフィックス コミュニケーションズ、Hyundai Motors America、Jaguar Land Rover、X-rite、WOWクリエイティブの6社から9名が登壇。それぞれの研究分野や、実際の活用例、作品などについて紹介した。いずれにおいても、核となっているのはAutodesk社の「VRED」を使用することによってどういった可能性が開け、またどれだけ効率化が図れるかといった内容が中心となった 具体的には「VRED」そのもののメリットを活かすことで得られる自動車開発の合理化やよりインタラクティブなコミュニケートが可能となるという事例が紹介される一方で、これまででは実現が難しかった芸術の分野における3Dデジタルデータ処理の応用や、CADデータをそのままアニメーション化や静止画像化することで、「開発で使用するデータをマーケティングや営業、広報など、社内のあらゆる場で活用する」といった新たな提案も、来場者の注目を集めていた。 そもそも「VRED」とはCADデータなどから3Dの可視化バーチャル・プロトタイプを作成できるソフトウェアだ。比較的、容易に光の波長やマテリアルの質感まで織り込んで再現することが可能な点が特徴であり、さまざまな編集機能が備わっているところでも優位性を誇っている。素材や色を変更した際に、どのようなイメージに変わるのか、見栄えはどうなのか、そういったことをかんたんにチェックすることができるのだ。 さらには、VRへの親和性に優れている点も非常に大きなメリットである。HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)に「VRED」で作成したデータを映し出すことで、フルスケールの3Dの画像として見ることが可能となる。しかも、自分の動きにあわせてアングルやポジションも変化するし、車内に乗り込んでインテリアを見ることだってできる。クルマを輪切りにして、ディテールを詳細に確認するといったデジタルデータならではの使用方法もある。 こうした技術は、ネットワークの高速化が進めば、高解像度の画像をグローバル規模で共有することすら可能となる。つまり、HMDで見ている画像を日本と世界中のどこからでも同時に共有でき、インタラクティブに意見交換することができるのだ。世界中とのビデオ会議が一般的になって久しいが、これからはVR会議がグローバル化する時代なのだ。 ほかにも、素材や色の変更が容易で、かつその再現性に優れた「VRED」を使用することによって、マーケティングや営業のツールへの応用など発展性も幅広い。静止画やアニメーション化することで、紙媒体やWeb媒体、ムービーなど活用できるメディアを問わないだろう。組み合わせるハードウェアを含めて、これからさらに幅広く活用できる資質を備えたソフトウェアであるのだ。 「VRED」の技術説明と、その実用・応用例についての様々な発表がされた本セミナー。その締めくくりでは、業種の異なる参加者同士の懇親会が開かれて、違いの情報を共有する場となった。そして、今回の各講演の内容とブースの内容もそれぞれ別記事で紹介していく。《スポンサー出展企業》株式会社アスク株式会社ボーンデジタルクリスティ・デジタル・システムズ 日本支社E-グラフィックス コミュニケーションズ株式会社日本HP & インテル株式会社電通国際情報サービスSCSK株式会社X-Rite社
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