マツダ『CX-5』がイヤーカーになりました。そして10台の10ベストカー達も本当におめでとう。
2012年はクルマの当たり年だったと思います。どのクルマも素晴らしいコンセプトと技術でした。配点ルールの関係で差をつけましたが物差しを変えると、トップ10はどのクルマがイヤーカーになっても不思議ではなかったと思います。しかもCOTYは勝った負けたではなく、お互いに称え会うサロンだと思います。結果的には選考委員が年男を選ぶわけですが。
清水和夫の配点は以下の通りです。
●BMW『3シリーズ』(セダン/ツーリング):10
肉食系ハイブリッド、割安感のあるディーゼル、2種類のパワーを持つ2リッター直噴ターボ。新型3シリーズには最新の色々なエンジンが選べる。驚くべきは320dのトルクフルな走りと燃費と価格だ。320dを超えるクルマは見当たらないが、3リッターターボのアクティブハイブリッドも魅力的だ。
320i 270Nm 16.6Km/L 450万円
328i 350Nm 15.2Km/L 570万円
320d 380Nm 19.4Km/L 470万円
HEV 450Nm 16.5Km/L 699万円
●マツダ『CX-5』:7
ガソリンエンジンの魅力は物足りないが、ディーゼルは評価できる。後処理ナシでも日本の排ガス規制をクリアした技術はたいしたものだ。しかも、横置きエンジンとしては、キャビンパッケージも見事。弱点はディーゼルの乗り心地が荒いこと。洗練度が今一歩であった。乗り心地はガソリン車が良かった。
●レンジローバー『イヴォーク』:3
デザインとパッケージは素晴らしい。退屈で機能主義に陥っていたSUVのスタイルを革命的に変えた。中身はエンジン横置きのFFベースだが、ディーゼルがないのは残念。ライフスタイルだけの訴求は難しい時代ではないだろうか。
●フォルクスワーゲン『up!』:3
軽自動車よりも価格が安く燃費は軽自動車よりも優れている。まさに日本にやってきた黒船だ。デザインから質感、走りっぷりなど満点を与えたいが、唯一気になるのはロボタイズした2ペダル。シングルクラッチなので変速は慣れが必要だ。
●トヨタ『86』/スバル『BRZ』:2
商品企画はトヨタ、設計生産はスバルのコラボレーションは時代の最先端を行く。走る愉しさを追求したことは素晴らしいが、商品としての完成度が未熟であった。
清水和夫|自動車ジャーナリスト
1954年生まれ東京出身 武蔵工業大学電子通信工学科卒。
1972年にモータースポーツを始め卒業後プロのレースドライバーとなる。その後、モータージャーナリストとして活動を始め、自動車の運動理論や安全技術を中心に多方面のメディアで執筆・講演活動を行う。ITS、燃料電池車、環境問題に留まらず各専門分野に整合した総合的に国際産業自動車産業論を論じるようになる。TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。2009年はNEDOの『革新的次世代低公害車』の委員も務めている。「クルマ専門・ジャーナリズム」Webサイト(http://www.startyourengines.jp/)を主宰している。自動車専門誌「Carトップ」「モーターマガジン」「ENGINE」「GENROQ」などで連載中。