JAXA研究チーム、太陽表面の活動現象を地上で再現

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太陽の構造
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  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科のTS-4球状トーラス実験装置。コイルに電流を流すことで、放電ガスの中に磁場を作り、ドーナツ状に集まった約1万度のプラズマを装置内に作ることができる
  • 太陽観測衛星「ひので」がとらえた彩層ジェットの例
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、同機構 宇宙科学研究所・東京大学大学院新領域創成科学研究科の西塚直人氏を中心とする研究チームが、太陽表面での活動現象を地上の実験室において再現することに世界で初めて成功したと発表した。

 太陽では、1500万度もある中心核の熱が放射や対流によって表面に伝わり、「光球」と呼ばれる太陽表面では6000度に下がる。ところが、そこを過ぎると逆に表面から遠ざかるほど高温になり、コロナでは100万度を超えることが知られている。熱源から離れるほど熱くなるというこの逆転現象は「コロナ加熱問題」として知られ、これを解き明かすことが太陽研究の長年の課題となっているそうだ。

 これらの問題に挑むため、JAXAが2006年に打ち上げた太陽観測衛星「ひので」は、かげろうのない宇宙空間から太陽を詳細に観測。6年に及ぶ観測を通じて、光球とコロナの中間にある彩層では爆発現象や高速で吹き出すジェットなどが頻繁に発生しており、これらの活動現象がコロナ加熱において重要な役割を果たすことが分かってきている。

 従来、太陽表面で起きているこのような現象を理解するためには、「ひので」のような高性能の望遠鏡を用いて現象を詳しく観測する「観測的手法」と、スーパーコンピューターなどを用いて現象を理論的に予想する「理論的手法」とを組み合わせて研究が進められてきた。しかし、光球面でしか磁場を観測できない「ひので」の観測では磁場の立体構造を把握することが難しく、彩層でのプラズマの物理的な状態やそのミクロなスケールでのふるまいを知ることもできないという課題があった。

 西塚氏を中心とする研究チームは、そこに新たに地上の実験室にあるプラズマ実験装置を用いた「実験的手法」を導入し、今回、太陽の彩層で起きているものと類似の現象を地上で再現することに世界で初めて成功した。その背景には、彩層と類似の環境を模擬できる高性能のプラズマ実験装置の存在に加え、「ひので」を用いた観測によって磁場形状を正確に推定できたことが挙げられるとのこと。

 このような実験的手法では、実験装置内のプラズマや磁場の状態を至近距離から計測できるため、従来の観測的手法では特定が難しい磁場の立体構造やプラズマ状態(温度・密度・速度や抵抗)のミクロなスケールでのふるまいを診断することができ、理論的手法も組み合わせることで、太陽で観測される現象がどのような物理過程によるものなのかを推定することができるようになる。JAXAでは、今後、この新たに開拓された実験的手法に基づく研究をさらに進め、観測的手法による直接の証拠の検出や理論的手法を補うことができれば、ダイナミックな太陽活動やコロナ加熱問題の理解が大きく進むのではないかと期待を寄せている。

世界初!JAXAの研究チーム、太陽表面での活動現象を地上で再現することに成功

《白石 雄太@RBB TODAY》

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