二日酔いで集団登校の児童をはねる 有罪判決

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昨年11月、山梨県都留市内の県道で集団登校していた小学生の列に突っ込む飲酒運転原因の事故を起こし、2人に重軽傷を負わせたまま逃走したとして、業務上過失傷害などの罪に問われた57歳の男に対する判決公判が1月29日、甲府地裁都留支部で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪を命じている。

問題の事故は2006年11月9日朝に発生した。都留市大野付近の県道を近くの小学校に向かって集団で登校していた児童8人の列に対し、後方から進行してきた軽乗用車が衝突。9歳の女児が左足を骨折する重傷、10歳の女児も打撲などの軽傷を負った。

クルマは現場から逃走。後に現場へ戻ってきた57歳の男を業務上過失傷害や道路交通法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の容疑で逮捕している。

後の調べで、男は事故の6時間前まで市内の居酒屋において、日本酒8合などを飲んでいたことが判明。二日酔いであることを自覚したうえで、さらに薬用酒を飲んでからクルマを運転していたこともわかった。

男は同罪で起訴されるが、公判では「二日酔いとは思っていなかった」、「酒を飲んでいたから逃げたのではなく、気が動転したから逃げた」と、取り調べ段階の供述内容を一部訂正する主張を行っていた。

1月29日に行われた判決公判で、甲府地裁都留支部の下山芳晴裁判官は「被告は衝突直前に児童が歩いていることは気づいていたが、タバコに火を着けたことで脇見状態となり、そのまま突っ込んだことで本件事故が起きた」と指摘。さらに裁判官は「被告は前夜から普段以上の酒を飲んでいた」、「アルコール検知の段階でも警官は酒の臭気を感じており、公判での弁解は信頼できない」として、「気が動転して逃げた」等の被告主張を退けた。

その上で裁判官は「飲酒運転を起因とした悲惨な事故が相次ぎ、飲酒運転事故の撲滅が強く求められている中での行為でもあることから、強い非難に値する」と判断した。だが、被害者とは民事上の示談が進んでいることには一定の評価を行って情状の酌量を認め、懲役1年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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