パトカー追跡による死亡事故の控訴審が開始

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1994年3月、岩手県盛岡市内でパトカーに追跡されていた乗用車が信号待ちをしていた別のクルマに追突、追突されたクルマに乗っていた男女が死亡した。

この事故について、遺族が岩手県に損害賠償の支払いを求めた控訴審の第1回口頭弁論が13日、仙台高裁で開かれた。県側は控訴棄却を求める書状を提出し、全面的に争う姿勢を見せている。

問題の事故は94年3月31日午前0時20分ごろに発生している。

岩手県警・盛岡西署のパトカーに追跡されていた18歳の少年が運転する乗用車が、盛岡市上堂1丁目付近にある国道4号線と県道の交差点で、右折レーンで信号待ちをしていた22歳男性運転のクルマに激突して大破。これが発端となり、信号待ちをしていたクルマは衝突直後に出火した。

パトカーは追突被害を受けたクルマの横をそのまま通過、十数メートル先で停止した容疑車両の真横に停止し、運転していた18歳の少年の身柄を拘束しようとした。その間に追突被害を受けたクルマは全焼、乗っていた男女2人は自力で脱出できないまま焼死している。

死亡した2人の遺族は「警察は容疑者の検挙を優先し、被害者の救出を怠った」と主張。1997年に岩手県(県警)を相手に総額1億4000万円あまりの損害賠償を求めた民事訴訟を提訴した。

県側は「追跡に違法性はなく、容疑者には逃走の恐れがあり、何よりも優先しなくてはいけなかった。事故に巻き込まれたとされるクルマには人影が確認できなかった」と真っ向から対立。裁判は長期化していた。

今年2月、盛岡地裁は「追跡に違法性は無く、救護義務違反も無かった」と判断。遺族側の請求を全面的に棄却したが、遺族はこれを不服として仙台高裁に控訴していた。

13日に開かれた第1回の口頭弁論において、岩手県側は「パトカーによる追跡に違法性は無く、過失も無い」と主張する答弁書を提出。高裁に対して控訴棄却の判決を求めるなど、全面的に争う姿勢を見せている。

《石田真一》

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