【新聞ウォッチ】夏休み総括---台風、冷夏、大停電、そして「西部警察」暴走

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2003年夏、お盆休みスペシャル

日本列島を縦断し続けた台風10号の直撃で始まった今年のお盆休み。国内便が欠航するなど交通機関のダイヤが大幅に乱れて前半の帰省客を足止めした。埼玉ではゴルフ練習場の支柱が倒れて帰宅途中の乗用車を直撃、北海道でも道路が崩落し乗用車が川に転落するなど、台風の被害が各地で相次いだ。

お盆をふるさとや行楽地で過ごされた人たちは異常気象に悩まされたが、国内では冷夏と長雨にたたられた一方で、欧州はパリで連日40度を超えるという数十年に一度の熱波に襲われたかと思えば、ニューヨークなどの北米では15日午前5時過ぎ(日本時間)から16日夜にかけて史上最悪の大停電に見舞われた。

その影響は自動車業界にも「デトロイト、自動車50工場ストップ」(毎日・16日夕刊)などの打撃を受けたが、ホンダなどは18日から操業を再開。新車販売が復調傾向にあるだけに、生産停止の影響が懸念されたが、各社とも2カ月程度の新車在庫を抱えており、販売店が品不足に陥る心配はないとみている。

そんなお盆休みだったが、夏休み期間中(8月9−17日)、集中豪雨や大停電以外で社会面やテレビのワイドショーをにぎわせたのが、12日午後に名古屋市内で『西部警察2003』のロケ中に、刑事役の俳優が運転するスポーツカーが見物人に突っ込み5人が重軽傷を負った事故。事故を起こしたクルマは、英国製スポーツカー、TVR『タスカン』。最高速度は約280km/hにも及び、わずかなアクセル操作で一気に加速する高性能というが、急にアクセルを踏み込んだため、制御できなくなったことが事故につながった。

その後、石原プロモーションの渡哲也社長がお詫び会見で「気持ちのゆるみがあった」と深々と頭を下げて、制作中止を発表。“石原軍団”が出演する「日本興亜損保」のテレビCMも放送を自粛することになったが洒落にもならない。交通標語の「注意1秒ケガ一生」とはこういうことを指すのだろう。

自動車関連記事では、日経が10日朝刊で「GMグループ・富士重、いすゞ、スズキ 鋼板など共同購買、倍増」という記事を1面トップで掲載。14日朝刊では「車載情報端末、トヨタ、マツダ・三菱自も採用」という、トヨタが技術供与拡大をはかる話題を1面準トップで取り上げ、16日朝刊の東京などが追随していた。

また、「中古車市場でもうけを発掘、車のリフォーム登場」(朝日・12日朝刊)や「ダイハツ、コペン海外投入」(産経・13日)、「自動車総連ベア要求凍結、来春春闘から方針」(読売・15日朝刊)など、各紙ともそれなりに独自の記事を取り上げていたが、企業・経済面から自動車記事が消えた日も多かった。

そんな中で10日の産経によると「いすゞ、社員6000人強に慰労金、業績改善協力で4万5000円」を支払うことを決めたという。10月のディーゼル排ガス規制を控えた特需や株価が高騰するなど企業収益に改善の兆しが見られるためで、賃金カット分を少しでも報いようという計らいだ。いすゞの社員にとっては冷夏と長雨でうんざりしていた気分を和ませてくれたニュースだ。

《福田俊之》

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