アゼスト『AutoPC CADIAS』(カディアス)を使いこなすための方法。それはユーザー自身が自宅などで使っているパソコンと「いかにして連携させるか」という点にかかっている。
CADIAS内部にはアプリケーションの動作に必要な最低限のメモリー(64MB)しか搭載していない。クラリオンの皆川昭一・技術開発本部長によると、大容量ストレージを本体に内蔵しなかったのは「Windows CE for Automotiveの仕様で(大容量ストレージを)必要としないから」だという。機能的な要求より、マイクロソフトが示す仕様が優先された格好だ。
地図データはインクリメントPが提供する「iフォーマット」を使用しており、この点では11月中旬から発売されるカロッツェリア『Air NAVI』と同じだ。ただし、Air NAVIが地図データを本体内のDRAMに収納するのに対し、CADIASは本体内部にデータを収録するストレージを置いていないため、地図データはCD-R、SDカードやメモリースティックなどの各種メディアに収録した状態で用意し、常に本体に挿入した状態で使う必要がある。初回出荷版には100メートルスケールまでの日本全図を収めたCD-ROMが付属するが、CADIASで快適に使うためには、日常よく使う部分だけを切り出しておくなどの作業が必要となる。
これは音楽などのファイルも同様で、パソコン側でMP3やWMA(Windows MediaAudio)ファイルにエンコードしなくてはならない。データを持ち運びしやすい形や容量に加工する手段として、パソコンが必須となるのだ。本体にはマルチドライブを装備しており、通常の音楽CDやDVDビデオ再生も可能だが、北米向けAutoPCには用意されているカーUSB対応のCDチェンジャーは現段階で設定されていない。また、ユーザー自身が作成したDVD-R、またはDVD+RによるMPEG2規格の動画ファイル(市販のDVDビデオと同フォーマット)の使用は「開発段階では想定しなかったので、実証実験していないから動作保証できない」(皆川さん)としている。
メーカーが推奨する快適なCADIASの使い方はどんなものなのだろうか。これについて皆川さんは「地図はあらかじめ自分が普段使う圏内だけ切り出しておき、クルマに乗る前に地図の更新がないかどうかを自宅などでチェックしていただく。もし変更点があるなら車内から携帯電話を使ってダウンロードするのではなく、ご家庭の常時接続回線(ADSLなど)を使った方が早くて安上がりです」という。音楽ファイルについては「長時間楽しむなら、CD-RにMP3ファイルを焼いておくといい。Outlookのスケジューラーと連携させると指定のアルバム(フォルダ)を、指定の時間に演奏することもできます」とのこと。
カーナビとして考えるなら「非常に手間の掛かる」ものだが、パソコンと考えるならばこうした手間は当然。ある程度の冗長性があるということは、自分に使いやすくカスタマイズしていく楽しみも確保されているということ。未知の部分が多い“箱”だが、開拓者精神のあるユーザーにはシステムを攻略する楽しみもオマケについてくる。