トヨタ『ヴィッツ』は日本を代表するコンパクトカーだけに、大きな期待を持ちすぎたのかもしれない。でも、もうちょっとなんとかならなかったのかな? というのが最初に試乗した時の思いだった。
初めて対面した時には「うーん」と馴染めなかったデザインは、不思議なことに見るたびに好きになり、今ではあの脱力系な雰囲気に病みつき状態。
初めて一般道で乗って感じたのは、まず操作性から乗り味までとてもシッカリしている、ということだった。EVとしてどうかというよりも、ひとつのクルマとして見て、「いいクルマだな」と思えた。
Aピラーが切り立っており、かつ根元はかなり前進している。運転席から見る前方視界は、景色を四角い額縁で切り取ったような感覚だ。ふと左横に視線を向ければ、横長いフロントドア・ウインドウ越しに景色がサーッと流れて行く。
新しいものは苦手である。なんたって取扱説明書が読めないし。だから電気自動車って言われても、やれ航続距離が短いだの、やれ充電場所がないじゃんだの、見合いの相手の粗探しよろしく、欠点探しばかりしていた。
コンパクトと謳う割には、それほどコンパクトボディではないのだけど、それでも私はこの『CT200h』を女性に薦めたいと思った。これまでのハイブリッドカーになかったものを、このクルマに感じたからだ。
コンソールのドライブモードスイッチで「SPORT」を選ぶと、メーターパネル上部の照明色が青から赤に変わると共に、左側のパワーメーターがタコメーターに切り替わる。針はそのままで目盛りだけ変わるという巧い仕組みだ。
レクサス『CT200h』は、日産『リーフ』と同様に独自の企画性をもった稀な和製ハッチバックモデルである。
「成功した初代のモデルチェンジは難しい」という自動車業界の教訓を、2代目『ヴィッツ』は見事にクリアした。「2代目で身上をつぶす」という世間の教えをクリアすることが、新型ヴィッツに課せられた使命だ…としたら、さぁ、どうだろう?
日本における原子力発電の、向こう数十年に渡る“仮死状態”は、安い深夜電力と半ば表裏一体によちよち歩きし始めたEVにとって致命的となるのか、はたまた…