中日本高速(宮池克人社長)と日本高速道路インターナショナル(黒田孝次社長)は4日、ベトナムの有料道路運営会社FCC社(ムォン・ヴァン・チェン社長)の株式20%を取得することを明らかにした。日本の高速道路会社として初めて、ベトナムの有料道路事業に参入する。
FCC社は2014年に、資本金約14億円(2800億VND)でハノイ市に設立された特定目的会社。昨年11月に新設されたベトナムの首都ハノイ近郊のフーリー市内を通る有料道路「フーリーバイパス」など約43.44kmを管理する。フーリーバイパスは対面通行2車線の有料道路で、普通車125円(2万5000VND)、規制速度80km/hの道路だ。
中日本高速は同社のノウハウを生かし、FCC社を足掛かりにベトナムでの有料道路の維持管理に進出する。維持管理には料金収受も含まれる。同社の海外事業はコンサルタント業務の請負という形ではあったが、具体的な有料道路運営に携わるのは初めてのことだ。今後、FCC社への役員の派遣も検討している。
同社は08年12月にベトナム駐在員事務所を開設。ベトナム進出への足固めを行ってきた。FCC社の株式取得に先立ち、同社の株主であるフェコン社と(ファン・ヴィエット・コア会長)と傘下グループ会社であるFCI社(ムォン・ヴアン・チェン社長)との戦略的パートナーシップを締結した。これによりFCC社の株式の40%を所有するフェコン社から20%の株式を譲り受けることを可能にした。
フェコン社は04年にハノイ市で設立された。従業員約700人の軟弱地盤改良工事、地下工事を得意とする建設会社だ。FCI社は13年にハノイ市で設立されたフェコン・グループのインフラ部門担当会社だ。
同社の株式取得を経てFCC社は、中日本・日本高速道路インターナショナル20%、FCI社20%、フェコン社の残りの株式20%をFCI社が引き継ぐ。残り60%は既存株主の2社。ベトナム建設大手コテコンズとベトナム交通運輸省(MOT)傘下の交通工事建設大手公社CIENCO1 (第1交通工事建設総公社)が、35%と25%を所有する。この2社との業務締結はなされていない。
日本の高速道路会社の海外への進出は、西日本高速のインドネシア進出、東日本高速のインド進出に続いて3例目となる。