ペナン州与党・民主行動党(DAP)所属のR.S.N.ライェル議員の「畜生め」という発言に同州野党の統一マレー国民組織(UMNO)が反発している問題で、今度はライェル議員の自宅にウシの生首が投げ込まれる報復事件が発生。
与野党間の対立が、与野党を超えて民族・宗教差別にまで拡大する様相を見せている。
UMNO側はライェル議員が州議会で党を侮辱したと主張し、22日に州議会前で抗議活動を行った上で議場にまでに乱入した。これに対しライェル議員はUMNO議員3人だけに向けたもので、宗教的蔑視の意味はないと反論し謝罪を拒否している。
こうした中、28日早朝、ライェル議員の自宅前にウシの生首が投げ込まれているのがみつかった。防犯ビデオの映像には、バイクに乗ったヘルメットの男がウシの生首を門前に投げ込んで走り去る様子が映っていた。ウシはヒンドゥー教における聖なる動物であるため、UMNO支持者の何者かがインド系であるライェル議員を侮辱しようとしたものとみられる。
事件をうけて同州ヒンドゥー教会は、宗教的な侮辱行為を強く非難。同州与党だけでなく、UMNOの友党であるマレーシア華人協会(MCA)などからも「民族対立を煽る」との批判の声が上がっている。
この事件を巡っては、暴力事件を収めて治安維持に尽くすべき立場にあるアハマド・ザヒディ内務相が「ライェル氏の大口叩きが招いたこと」と暴力を容認する旨の火に油を注ぐ発言。友党の人民運動党(ゲラカン)も同内務相を厳しく批判する事態となっている。