京王、3か月連続で踏切誤進入---遮断機が降りず

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京王電鉄は、夜間作業中に警報機が鳴り続けることを防ぐために「踏切装置電源」のスイッチを切ったことが原因で、遮断機が働かないまま踏切を始発電車が通過、誤進入したことを公表した。

高架橋改築工事の夜間作業終了後に、一度は踏切装置の電源を作動させるスイッチを復帰させたが、施工協力会社作業員の「勘違い」で、再びスイッチを切ってしまったという。

判明したのは8日4時53分頃。井の頭線吉祥寺行きの下り始発が三鷹台駅に到着したが、運転士が前方の踏切の遮断機が下りていないことに気付き、運輸司令所に報告。運輸指令所から報告を受けた通信管理所が調べたところ、それより前にこの電車は、三鷹台駅の123m手前にある踏切を、警報も鳴らず遮断機も降りないまま通過していた。

同列車は約5分遅れで三鷹台駅を出発したが、この遅れから吉祥寺駅発の上り始発(吉祥寺~富士見ヶ丘間)と、富士見ヶ丘駅発普通下り吉祥寺行きの2本が運休した。

同社では「踏切装置電源について、当面は複数人で確認し、一人の思い込みを防ぐ」と、再発防止策を話す。

しかし、同社は6月14日と7月27日にも「勘違い」による踏切誤進入を起こしている。

6月14日は、京王線新宿行き上り普通列車を運転する運転士が、準特急であると「勘違い」して、停車するはずの中河原駅を行き過ぎた。駅から280mほど行き過ぎ、駅から240m先にあった踏切に、列車が乗り入れた。その後の検証で、この踏切を、遮断機が完全に降りる前に通過していたことが判明した。

また、7月27日には今回と同じ井の頭線で、臨時回送列車の運転士が、停車すべき久我山駅を「勘違い」して通過したため、駅から190m先で停車。このときは、運転士も車掌も会社に報告せず、通行人が国土交通省に通報して発覚。その後の検証で、駅の直近にある踏切を、遮断機が降りる前に通過している可能性が高いということが判明した。

この2つの誤進入で同社は30日に、関東運輸局から警告文書を発出され、鉄道輸送の安全確保を求められていた矢先のことだった。

3件の誤進入による負傷者はいなかった。同社は井の頭線には2012年を目処として、「勘違い」があっても列車が自動的に停止する「自動列車制御装置」(ATC)の導入を進めている。

《中島みなみ》

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