【伊東大厚のトラフィック計量学】休日のCO2削減効果

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目達計画の「検討課題」

2月上旬公表された「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告」では、国内排出量取引制度や環境税、深夜化するライフスタイルの見直しなどは合意に至らず「検討課題」とされた。

国内排出量取引制度は、マスコミでも“Cap&Trade(排出枠規制と過不足の売買)”が取り上げられ、ご存知の方も多いと思う。様々な意見が出たが、日本は規制ではなく自主的取組みを選択したことになる。自主性は尊重すべきであるが、さらに厳しい規制が課された際には、排出量取引は有力な仕組みになると思う。

深夜化するライフスタイルの見直しは、深夜営業、ライトアップ、深夜放送などを控えるということだ。しかし効果を疑問視する声や深夜営業は防犯・防災上の意義があるなど反論もあり、この案も継続検討となった。地球環境問題の対策は、規制・抑制といったネガティブなイメージがつきまとう。もう少し「明るい話題」にならないものだろうか。

◆休日は省CO2

ライフスタイルを変えるというのは前向きなイメージだが、“早寝早起き”に限定することはない。「もっと休みを増やす」というのは如何だろうか。仕事が休みならオフィスなどのCO2は減る。休むとは、省CO2でもあるのだ。

残業が増えるのでCO2の総量は変化しない、との指摘もあるだろう。しかしオフィスワークをはじめ、まだ効率アップの余地はあるのではないか。日本の労働者は年8日ほどしか有給休暇を取らないため欧州より10日以上も休日が少ない(図1)。夏休みの長期化などに有給未消化分をあてるなど、制度上問題の少ない形で休日を増やす方法はあるはずだ。

◆年10日休みを増やすと…

休みに旅行するとCO2が出るのではと思うだろうが、休日は自動車の交通量が平日より2割ほど少ない(図2)。また休日は高速道路利用や乗用車の割合が増え (図3)、渋滞も平日ほどではない。休日は、自動車交通のCO2排出量は概算だが平日の半分ほどだろう。

仮にあと10日、休日(運輸部門CO2半分の日)が増えるとすると運輸部門だけで400万トンほどCO2が削減できる計算になる。オフィスなどは大幅減になると考えられ、家庭部門で少々増えたとしてもマイナス1000万トン規模の皮算用が成り立ちそうだ。

休日の増加はCO2削減になるだけでなく、仕事のメリハリと効率アップにもつながり、日本人のライフスタイルを変えるきっかけになると思う。こんな“息抜き対策”もあっていい。

《伊東大厚》

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