3年以上前に事故死---保険の扱いで最高裁判断

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クルマで自宅を出たまま行方不明となり、3年8カ月後に交通事故で死亡していたことが発覚した男性の妻が、生命保険会社に対して死亡保険金の請求を行っていたという訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷は11日、生保側の上告を棄却し、一審と二審で認められた保険金の支払いを支持した。

原告となった女性の夫は1992年5月、クルマで自宅を出たまま失踪。行方がわからなくなった。女性は警察に対して捜索願を出したが、夫の足取りは全くわからなかった。

ところが1996年1月、静岡県裾野市の山中で事故を起こしたクルマが見つかり、車内から発見された遺体が失踪していた男性であることがわかった。事故を起こしたのは失踪直後とみられ、遺体はすでに白骨化していたという。

女性は契約していた生命保険会社に対し、死亡保険金の支払いを求めたが、生保側は「死亡したのは失踪直後と推定される」という警察の判断を採用。「死亡した翌日から3年間の請求期限はすでに時効を迎えている」として、保険金3600万円の支払いを拒否した。

女性は保険金の支払いを求め、生保を相手に提訴した。一審、二審ともに「原告が夫の死を知ったのは1996年1月であり、生死不明の間は時効が中断していたと判断、生命保険の請求権が失われない」と認定し、生保側に支払いを求めた。いっぽう生保側は時効中断の認定を不服とし、上告していた。

11日の上告審判決で最高裁第一小法廷の深沢武久裁判長は「保険約款で定められた消滅時効の起算点は“死亡日の翌日”だが、失踪など特段の事情がある場合は適用されない。こうした場合は死亡の事実が確認され、権利行使が現実にできるようになった時点から起算する方に合理性がある」と認定した。

その上で「今回の場合、警察から遺体発見の連絡を受けた日を死亡した日と扱い、消滅時効の起算はその翌日からとするべきである」として、一審と二審の判断を支持。生保側の上告を棄却した。今回の判決により、遺族は死亡保険金3600万円を受け取れることになった。

《石田真一》

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