11月末の災害運休区間は約67km減…岩泉線は廃止が確定

鉄道 行政
土砂災害で運休が続く岩泉線の終点・岩泉駅(2006年9月)。2014年中の廃止が正式に決まった。
  • 土砂災害で運休が続く岩泉線の終点・岩泉駅(2006年9月)。2014年中の廃止が正式に決まった。
  • 小湊鉄道線を走る気動車。10月の台風26号の影響で今も養老渓谷~上総中野間の運休が続いている。
  • 信楽高原鐵道の路線図。起点の貴生川駅のすぐ近くにある杣川橋りょうの橋桁が流失し、全線運休中。
  • 台風18号の豪雨で土砂が崩落した六甲ケーブルの3号トンネル坑口付近(2013年9月20日撮影)。2014年1月末頃に復旧する予定。

災害による鉄道路線の運休区間は、11月末時点で7社17線18区間、計464.4kmとなった。10月末時点から3社4線4区間が復旧し、運休距離は66.8km減少している。岩手県の岩泉線は2014年中の廃止が確定した。

11月末時点の運休区間と11月中に再開した区間は以下の通り。

■三陸鉄道 北リアス線 小本~田野畑(岩手県) 10.5km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。復旧作業が現在進められており、2014年4月までに再開する予定。

■JR東日本 岩泉線 茂市~岩泉(岩手県) 38.4km
2010年7月に発生した土砂崩れによる脱線事故で全線運休中。復旧に膨大な費用がかかる一方、利用者が極度に少ないことから、2014年11月9日付(繰り上げが認められた場合は2014年4月1日付)で廃止して正式にバス転換することが決まった。

■JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。JR東日本はバス高速輸送システム(BRT)による仮復旧の意向を示したが、鉄道の早期再開を求める沿線自治体との間で交渉が難航している。

■三陸鉄道 南リアス線 吉浜~釜石(岩手県) 15.0km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。復旧作業が現在進められており、2014年4月までに再開する予定。

■JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城・岩手県) 43.7km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2013年3月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

■JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2012年8月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

■JR東日本 石巻線 浦宿~女川(宮城県) 2.5km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2014年春から復旧工事に着手し、2015年春の再開を目指す。終点の女川駅は内陸側に移設する。営業距離は0.1km短くなり2.4kmになると見られる。

■JR東日本 仙石線 高城町~陸前小野(宮城県) 11.7km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。ルートを内陸側に移設した上で2015年にも再開する予定。

■JR東日本 常磐線 相馬~浜吉田(福島・宮城県) 22.6km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。ルートを内陸側に移設して運転を再開する計画が立てられている。2014年春から工事に着手し、2017年春にも再開する予定。

■JR東日本 常磐線 広野~竜田~原ノ町(福島県) 54.5km
東日本大震災の地震動と津波で路盤が崩壊するなどの被害。福島第一原発の警戒区域などに入っているため、被害調査もほとんど進んでいない。広野~竜田間8.5kmは2012年8月から避難指示解除準備区域に移行しており、JR東日本は沿線自治体の帰町判断(2014年春)にあわせて再開する方針。

■JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害。JR東日本は復旧の可否について「総合的に検討を進め」るとしており、公的支援が受けられない場合の運転再開は困難とみられる。沿線自治体の市町村長らで構成される復興推進会議が11月に発足した。

■小湊鉄道 小湊鉄道線 養老渓谷~上総中野(千葉県) 4.2km
10月の台風26号による大雨で盛り土が損壊。

■JR東海 名松線 家城~伊勢奥津(三重県) 17.7km
2009年10月の台風18号により橋台の流失や土砂の流入などが発生。一時は鉄道を廃止する方針が示されていたが、関係自治体が鉄道施設周辺の治山事業などを実施することを条件に復旧の方針に転換した。2015年度内の再開が予定されている。

■信楽高原鐵道 信楽線 貴生川~信楽(滋賀県) 14.7km
9月の台風18号による大雨で橋桁が一部流失し、全線運休中。復旧費のめどが立たないことから廃止の可能性も取りざたされている。滋賀県の嘉田由紀子知事は国に災害復旧費の補助率の引き上げを要望するとともに、県としても支援する方針を示している。

■六甲山観光 六甲ケーブル線 六甲ケーブル下~六甲山上(兵庫県) 1.7km
9月の台風18号による大雨の影響で運休中。11月から復旧作業が本格化しており、2014年1月末頃の再開を目指す。

■JR西日本 三江線 江津~浜原(島根県) 50.1km
8月に発生した豪雨の影響で橋脚が流失するなどの被害。11月から本格的な復旧工事が始まっている。

■JR西日本 山陰本線 須佐~奈古(山口県) 19.8km
7月の豪雨で橋脚の沈下などが発生。再開は1年先か。

■JR西日本 山口線 地福~津和野(山口・島根県) 19.0km
7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害が発生。再開は1年先か。

◎11月の再開区間
11月9日:JR西日本 山陰本線 益田~須佐(島根・山口県) 25.9km
11月14日:JR東日本 久留里線 久留里~上総亀山(千葉県) 9.6km
11月16日:JR西日本 山口線 津和野~益田(島根県) 31.0km
11月28日:岡本製作所 別府ラクテンチケーブル線 雲泉寺~乙原(大分県) 0.3km

《草町義和》

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