ハイブリッドの最大の長所は、いうまでもなくエコ性能の高さだ。それは、ブレーキング時の通常なら熱として失われてしまうエネルギーを発電に回し、加速時などに使用することによって達成される。そのためにハイブリッド車はエンジンのほかに電気モーターを積んでいるわけだが、じつはこの組み合わせがもたらすのはエコ性能だけではない。そこには新たなドライビングの世界も広がっている。
それを端的に表現した1台がレクサスGS450hだ。そのパワーユニットはエコカーという響きから連奏される非力さとは無縁。最高出力296psを発生する排気量3.3リットルのV6に、最大出力200psの高出力モーターを組み合わせて、345psというシステム出力を得ているのである。
当然、その加速は凄まじいのひとこと。モーターの特性で、アクセルを踏めばその瞬間に最大限のトルクがもたらされ、しかも電子式CVTを用いるためATのような変速時の段付きとは無縁のまま、どこまでも速度が伸びていく。慣れないうちに畏怖さえ覚えるこの加速感には次第に病み付きになる。 |
 |
これこそが、GS450hのハイブリッドでしか実現できない走りの世界である。しかも、それでいて燃費だって10・15モードで14.2km/リットルとずば抜けているのだ。
ハイブリッドは単にエコなのではない。それと同時に今までにない走りの世界を体感させてくれる存在であり、それゆえに強く惹き付けられてしまうのである。
|
 |
 |
 |
|
 |
島下泰久|モータージャーナリスト
新進気鋭の若手自動車論客のひとり。走りを中心とした車両の評価だけに留まらず、最新テクノロジーからブランド論まで、クルマを取り巻くアレコレが守備範囲。最近の注目分野は、ITSがもたらすモビリティの将来像。
|
|
|