音楽配信に留まらない「G-DRM」
---- コンシューマー向けではテレマティクス初の音楽配信サービス「G-SOUND」が注目ですね。これはコンテンツと視聴権を分離して配信する「超流通システム」を使ったもので、画期的なコンテンツ流通の仕組みです。

友山 あまり理解してくれる人がいないのですけどね(笑)

---- 見ればわかるサービスだと思いますけどね。クルマにとって音楽は欠かせないエンタテイメントですし。今回のデモではミニバン市場を意識したコンテンツに見えました。曲の購入方法も無期限150円というような買い方だけでなく、1泊2日で30円からという柔軟な聞き方ができるところが世界でも例がない。

友山 いろいろな意見がでると思いますけどね。なんで着うたフルじゃないんだ、なんでiPod連携じゃないんだ、とか(笑)

白状してしまうと、音楽配信は確かに今回の主役のひとつですが、これを実現する(超流通を実現する)「G-DRM」という仕組みは、どんなコンテンツでも安全に配信できる点がポイントになっています。

---- 音楽はその第1弾に過ぎない、と。

友山 そうです。今後、クルマで映像配信が立ち上がる、地図配信が求められるなど、様々なコンテンツニーズの変化に柔軟に対応できる。しかも著作権はしっかりと保護できる。これがG-DRMの狙いなんです。今回、音楽の追加はCD-ROMの配布で行う予定ですが、近い将来は光ファイバーやデジタル放送など別のインフラを使ったコンテンツ配信でもG-DRMは対応できます。

---- 非常に大きな話ですね。

友山 コンテンツだけではありません。例えばプリウスなどのハイブリッドカーでは、ハードウェアにも魅力がありますが、真の価値はガソリンエンジンとモーターを制御するソフトウェアにあります。こういったソフトウェアを安全に配信・更新する目的にも、将来、G-DRMは使えると考えています。

---- 我々はe燃費という実用燃費計測サービスをやっていますけれども、プリウスはマイナーチェンジでソフトウェアが変わることで、燃費が10%以上改善していて驚いた経験があります。ですから、ソフトの価値は大変よくわかります。

友山 将来、クルマの価値のうち価格比で80%がソフトウェアになったとき、そのソフトウェアを最新にしたりリモートで機能向上をするといった時に、安全にソフトウェアを配布・配信できるG-DRMが意味を持ってくると思います。

----- ソフトを買う=クルマを買うという時代ですか・・・今回、G-DRMは音楽配信のために用意されましたが、その裏には、これまでハードウェア主体だったクルマの在り方にまで踏み込む、革新的な狙いがあったわけですね。

《インタビュアー=神尾 寿》
《写真=浅見 洋》
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