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X-ICE XI3
  • ミシュラン 最新スタッドレス 日本発のMICHELIN X-ICE XI3を徹底分析
  • 開発者インタビュー
  • 試乗レビュー

速度レンジH達成も、アイス性能は直球ど真ん中

イメージ アウディA3を用いて、円を描くように走行。
 
イメージ レクサスIS250では、スラローム走行を実施。軽い傾斜上で一定の速度を保ち、XI3の特性を体感。

ミシュランからスタッドレスタイヤ「ミシュランX-ICE」の第3世代モデル、『ミシュランX-ICE XI3(エックスアイス エックスアイ スリー)』(以下XI3)が発売された。世界で最も過酷と言われる冬道が存在する日本を拠点とし、日本の開発チームを中心に開発されたスタッドレスタイヤであることは変わらない。またXI2同様、XI3は欧州、北米、アジアなども視野に入れ開発されたワールドワイドな展開を行う商品になっている。

それを端的に表しているのが速度レンジH=210km/hという高速性能だ。(ミシュラン X-ICE XI2ででもT=190km/h)特に欧州では速度レンジに対する要求が高く、日本のスタッドレスが受け入れられ難い一つの理由になっている。ミシュランは速度に対する要求にも応える形で、XI3を作り上げたわけだ。

ただし、スタッドレスタイヤに求める性能の第一は冬道の安全であるという考えから、アイス性能、雪上性能の向上が図られている。とくにアイスブレーキはX-ICE XI2比で9%短くなっている。

これを実現するため、タイヤプロファイルとトレッドデザインを全面的に変更。従来とよく似たパターンだが、接地面圧の均一化がさらに進められている。ブロックもXI2に比べ15%多くなり、エッジ成分を増やすとともに雪柱せん断力を高めている。また横溝となるVシェイプデザインの角度も見直し、シャーベット路面での排雪性が向上した。

ブロックには、クロスZサイプのほかマイクロポンプ、ジグザクマイクロエッジといった加工が施され、エッジ成分を増やすとともにブロックの剛性バランスが図られている。またショルダーにはティアドロップと呼ばれる加工も施されている。これがサイプの根元にかかる力を分散し、Hレンジの高速耐久性を可能にしているのだという。

 
 
 
イメージ サイプに徹底したこだわり。ブロックはXI2に比べ15%増。エッジ成分を増やすとともに雪柱せん断力を高めている。

試乗してまず驚かされたのは、速度レンジHとは思えない氷雪上性能だ。性能は完全にスタッドレスタイヤのそれである。しかもトップクラスのだ。圧雪路では路面をしっかりとらえている、と感じさせる踏みしめ感があり、エッジ成分が雪にエッジを立てているような安定感がある。トラクション性能も優秀で、路面を良く踏みしめ、エッジを立てて路面を蹴ってくれる。また氷上ではフルシリカコンパウンド独特のトレッド面全体で路面をとらえるようなグリップ感があり、これに小さなエッジが歯を立てているような感触が加わっている。

氷盤路を走っていると、吸着するとか密着するといった感覚はそれほど強くないのだが、不思議なくらいスーッとスピードが落ち、止まる寸前にはえエッジを効かせでキュッと止まる。

高速向きスタッドレスなのかと思ったら、性能は直球ど真ん中のアイス性能を追求したスタッドレスタイヤだった。そして当然のことのように、ドライ路面で静かで、高速走行時のコンフォート系のサマータイヤに限りなく近い手応えと操縦性を持っている。この冬大注目のスタッドレスが登場した。(斎藤 聡)

 
 
 
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