ビッグデータの恩恵を個人にも提供する、それが新スマートG-BOOKだ。これはiPhoneやAndroid搭載のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすることで利用できるもので、ゼンリンデータコム製のナビエンジンを利用してトヨタメディアサービスが開発し、提供する。
トヨタ自動車友山茂樹常務は「新スマートG-BOOKはトヨタのビッグデータを個人へ提供するもの。T(トヨタ)プローブ情報や自治体・企業からの情報をリアルタイムで確認でき、災害時には画面のタップ一つで避難所までの安全なルートを検索することもできる。もちろん通常時には優秀なカーナビアプリとして利用できる」とする。プローブ情報を反映し、クルマだけでなく徒歩までサポートするナビ、災害時通れた道マップや避難所案内、警察消防への緊急通報ヘルプネットといった機能は、ビッグデータの恩恵を受ける。また、冠水など問題が起きた場合も、情報が反映されるのが速い。
新スマートG-BOOKではユーザーも情報発信の主役となるSNS機能も提供される。事故や落下物などを発見した際には、内容や位置情報をわかりやすいアイコンで表示されたスタンプ形式で簡単に投稿でき、別のユーザーも知ることができる。「重要なのは、自治体・企業からユーザーまでが同じプラットフォームで情報を共有しているというところ。夏以降のバージョンアップでは、投稿されたスタンプに今後サンクスボタンをつけるなどして、コミュニケーション要素を高めていく。スタンプの数を増やし、信頼性の高い投稿が多いユーザーには特別なスタンプを提供するなど、使いやすさをさらに追求したい」と友山常務。実際に付近を通過する際には、スタンプ内容を音声で読み上げる機能も備わっている。
また、従来のオペレータサービスもリニューアルされ、精度の高い音声認識サービス「バーチャルエージェント」とのハイブリッド型にあらためられた。いきなり友人オペレータにつながるのではなく、最初は行き先や駐車場の満空情報などを自然会話で話しかけると、バーチャルエージェントが自動で回答するというものだ。バーチャルエージェントに「オペレータ」と伝えると有人オペレータにつながる。このシステムは、G-BOOKやG-Linkなどのサービスで、オペレーターを通して行われたドライバーとの会話を分析するなど、これまでに蓄積されたデータを元に開発された。
「バーチャルエージェントは、曖昧な表現でも認識でき、会話結果を自らが学習し、成長するため、ユーザーが使いやすいようにカスタマイズできる。2回続けて音声認識がうまくいかないと有人オペレータに自動的につながるなど、ハイブリッド型になっているのが特徴」と友山常務は語る。
新スマートG-BOOKの利用価格は年間2500円(災害対策サービス、ルートチェック、スポット検索などのサービスは無料)となり、VICS交通情報を併用する場合は3500円となる。