【smart G-BOOK Ver.2 インプレ後編】音声認識・プローブ・SNS連携…スマホならではの独自機能を試す

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ルートガイド中の画面。本アプリは縦画面でも横画面でも違和感なく使える。
  • ルートガイド中の画面。本アプリは縦画面でも横画面でも違和感なく使える。
  • 交差点拡大表示をしたところ。その上にはレーン表示もある。
  • 交通案内板表示。直進する交差点でも大粉交差点ごとに表示される。
  • 料金所のETCレーンも表示される。
  • インターチェンジやジャンクションのイラスト表示。
  • ハイウェイモード。サービスエリアの施設も表示される。
  • 「Tプローブ交通情報」による渋滞表示。ラインが太く、見やすい表示だ。
  • VICSによる渋滞情報より情報が豊富で、短い渋滞も表示される。

「G-BOOK全力案内ナビ」から大幅にリニューアルし、生まれ変わった「smart G-BOOK」。新たにトヨタ独自の渋滞情報「Tプローブ交通情報」や音声認識サービス「エージェント」に対応し、豊富だった機能がさらに強化された。インプレ後編では実際にルート案内をさせてみての使い勝手をレポートしたい。

◆トヨタ独自のTプローブ交通情報はVICS以上の実力

ではルート案内をさせてみよう。ルートガイド機能はカーナビ専用機のそれと同等のものだ。交差点の拡大表示、インターチェンジやジャンクションのイラスト表示、交通案内板表示を備え、さらに料金所ではETCレーンを表示してくれる。この機能を持つカーナビアプリは意外と少ないのだが、非常に有用性が高い機能だ。

現在位置の精度、音声案内の聞き取りやすさ、ルートを外れた場合のリルートのタイミングなどすべての面でレベルの高いもので、全体に完成度は高いといえる。あえて難を言えば、地図の表示がややそっけなく感じる場合がある。これは通信で地図データを頻繁にダウンロードすることを考慮してデータ量を減らすデザインにしているためだろう。通信ナビとしては標準的な地図だが、地図データを端末に保存するタイプのカーナビが増えたために、相対的に見劣りする印象となった。もちろん実用に支障をきたすようなことではなく、見た目の高級感といったレベルの話だ。

続いて、「エージェント」と並んで本アプリの目玉である「Tプローブ交通情報」を紹介しよう。これは、すでに路上をくまなく走行しているG-BOOK搭載車両をプローブとして使い、そのデータをもとに構築した、VICSに頼らないトヨタ独自の渋滞情報だ。

VICSは幹線道路に設置された機器により渋滞情報を取得するため、機器が設置されていない道路の渋滞情報はまったくわからない。そのため、渋滞回避をしたつもりが逆に渋滞に突っ込んでしまうといったことも起こりうる。一方、プローブによる渋滞情報はインフラに頼らないので全ての道路に対して渋滞情報の取得が可能となるのがメリットだ。

実際に使ってみても、VICSを超えるその実力を実感できた。VICSでは表示されない裏通りの渋滞情報が表示されるだけでも非常に助かる。さらに、幹線道路の渋滞情報もVICSとは少し違うものとなっており、全体に「Tプローブ交通情報」のほうが渋滞情報が多い。つまり、VICSで見ると渋滞していないのに「Tプローブ交通情報」では渋滞の表示になっていることが多いのだ。短い使用期間なので主観的な印象程度の意見ではあるが、「Tプローブ交通情報」のほうがVICSよりも実態に近い情報だと感じた。

◆ほかのカーナビアプリにはない機能を多数搭載、災害時や緊急時のフォローも

本アプリは独自性の高い、しかも他のアプリが真似しようとしても容易に真似できない機能をいくつも搭載している。まず挙げなければならないのがオペレーターサービスだ。これは人間のオペレーターと会話をして目的地検索を代行してもらうもの。人件費のかかるオペレーターサービスはG-BOOKの目玉機能としてスタートしたものだが、これが低価格なスマホアプリでも使えるのは驚きだ。

オペレーターサービスは音声認識の「エージェント」と用途が重なるが、基本的にはまずエージェントを使い、音声認識がうまくいかないとオペレーターに通話できるボタンが表示されるようになっている。つまり音声コマンドに対して2段構えの機能となっているのだ。もちろん、最初からオペレーターサービスを使うこともできる。

G-BOOKがそのスタート当初から重視してきたエマージェンシー関連の機能も充実している。「HELPNET」はボタンをタップするだけで自分の位置を送信し、警察や消防に連絡してくれるサービス。ハンズフリー通話でオペレーターと話すこともできる。「災害対策サービス」は万一の災害時に、避難所などの災害関連施設の情報などを提供してくれるサービスだ。

もう一つユニークな機能として「SNS投稿」がある。例えば道路上に落下物を見つけた場合、この機能で落下物の情報を投稿(ボタンを何度かタップするだけでできる)すると、その情報がほかのG-BOOKユーザーに共有されるというもの。具体的には他のユーザーの地図上に落下物の情報が表示される。投稿できる情報は落下物のほか渋滞、交通規制、事故、災害、交通安全がある。「交通安全の情報って何?」と思ってしまうが、要するにネズミ捕りや検問などの情報を知らせるためのもののようだ。

◆豊富な機能の絞り込みとわかりやすさの改善に期待

気になった点も報告しておきたい。といっても機能としてはどれをとってもよく練り上げられていてこれといった問題はないのだが、やはり気になってしまうのは全体のUIというか、各機能が整理されていない点だ。

例えば起動するとメインメニューが表示されるが、99%の人は無条件に「ナビゲーション」ボタンをタップしてナビ画面にするだろう。あくまでテレマティクスアプリだというこだわりは捨てて、最初からナビ画面が表示されるようにするべきだ。メインメニューに並んでいるエージェントやHELPNETといった機能はそのほとんどがナビ画面から直接呼び出せるので、そもそもメインメニューの必要性が薄い。

これは本アプリに限らずG-BOOK全体にいえることだが、ものすごい機能を実現している反面、その機能がひとつに統合されきっていない印象がある。各機能をそれぞれ別の部署が独自に開発し、最後にぱっと合体させたように見えるのだ。例えば、どちらも目的地を探す機能である「目的地検索」と「エージェント」が連携せずに独立していることに違和感を覚える。「目的地検索」の画面を表示してから音声で探したいと思ったら、いったんナビ画面かメインメニューに戻って「エージェント」を起動しなければならないのだ。また、同じキーワードで検索しても「目的地検索」と「エージェント」で検索結果が異なるのも、なにか納得できないものを感じる。

目的地を登録する機能として「Gメモリ」と「お気に入り」のふたつがあるのも同様で、よく調べればそれなりに違う機能であることはわかるが、やはりわざわざふたつの機能を搭載する意味はなく、ユーザーが混乱するだけだ。

誤解されそうだが、本アプリのUIは決して使いにくくない。それどころか、ちゃんとユーザーのことを考えて練られていて、優秀だといってもいい。ただ、使っていて「??」と思ってしまう点があるということ。気にしなければ実害はないとも言えるが、優秀なアプリであるだけに改良を期待したいところだ。

《山田正昭》

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