カーナビの競争領域は“上位レイヤー”に移行する
---- 今回のインターナビで、もうひとつの“サプライズ”がパイオニアとのフローティングデータの交換です。これまでインターナビは、フローティング情報は「ホンダ車オーナーのもの」というスタンスを貫き、公共性のある用途以外では外部に出してきませんでした。なぜ、ここにきて「フローティング情報を交換する」というスキームに乗り出すのでしょうか。

今井 まず、大きな背景としては、(インターナビのフローティング情報は)蓄積統計データとしては十分な質と量に達したということがあげられます。ここから先は、その時々の事故や天気などによる変動をいかにすばやく取り入れるかとなってきますので、(他社とデータ交換をして)『リアルタイムデータを増やすしかない』わけです。

---- 確かに今回のフローティングデータ交換のスキームは、「リアルタイム情報のみ」になっていますね。過去の蓄積統計データや、それを渋滞予測にいかすアルゴリズムは含まれてない。つまり、ホンダにとって「リアルタイムのフローティング情報は、(他社と共有可能な)インフラという位置づけになった」ということですか。

今井 ええ、もうインフラですね。ですから、別にパイオニアだけと交換するという排他的な提携ではありません。これから先の競争は、(リアルタイムの)フローティング情報を持っているかどうかではなく、フローティング情報をどのように活用するのかに移行するでしょう。

---- フローティングカーやプローブカーの機能の有無が、もはや競争領域ではない、と。

今井 機能の有無が、プロダクトの差別化要因ではないですね。むしろ、それら(フローティングカー)の情報をいかして、いかに渋滞を減らすか。地球環境に対する負荷を減らすか。そこで知恵を絞り、競争する時代に入ったのだと考えています。

《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
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