---- 具体的には、いつ頃から構想があったのでしょうか。
今井 2002年にはプロトタイプとなる構想がありました。しかし、当時はまだ設備や端末のコストパフォーマンスの課題や、モバイル通信インフラが高速化・定額制の普及をしていなかったこともあり、すぐに実現することができなかったのです。
今回、いよいよ「インターナビルート」としてサーバー側への移行ができたのは様々な技術やコスト条件が熟したのと、(端末の供給を担当する)パイオニアもルート精度向上に対して同様の問題意識を持っていて共同でプロジェクトに取り組めたことが大きいですね。
---- なるほど、今回の発表から振り返りますと、過去の「オンデマンドVICS」からはじまり、「フローティングカー」や「車線別情報」なども、すべてインターナビ・ルート実現に向けての布石に見えますね。
今井 当然ながら、インターナビ・ルートでは従来よりもサーバー側の演算量が大規模化しますので、それに向けたサーバー増強などの準備も行ってきました。一方で、(インターナビ・ルートの実現では)カーナビ側のソフトウェアも大規模な改修が必要になります。イメージとしては、プラットフォームを一新したようなものですね。
---- 確かに今回のインターナビ・ルートは、過去のインターナビ端末ではまったく利用できません。これはバックヤード・コンパティビリティに配慮してきたインターナビとしては、かなり異例の対応ですね。
今井 今回のインターナビ・ルートはカーナビのソフトウェア側にも変更点が多く、ハードウェア側への負担も大きい。どうしても、「これから登場するインターナビ端末」向けのサービスにするほかありませんでした。
---- そう考えますと、先の「主要道リアルタイム地図更新」までが先代インターナビの一区切りであり、今回の「インターナビ・ルート」からは新たなパラダイムに入るという認識になるのでしょうか。
今井 その通りです。インターナビ・ルートによって、インターナビは新しい時代に入ると考えています。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
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