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――以前、インタビューをさせていただいた時、ホンダ独自のロードサービス「QQコール」は、インターナビプレミアムクラブの中でも、さらに高付加価値なサービスなので有料である、とお話いただきました。現在、エリシオンのV6モデルでQQコールが3年間無料キャンペーンを行っており、レジェンドも3年間無料になるそうです。日産カーウイングスがオペレーターサービス込みで3年無料を打ち出しました。インターナビプレミアムクラブがこのまま今後発売される新車種すべてで、QQコールが3年間無料になる可能性はありませんか。
今井 いや、それは当面はないですね。QQコールの3年間無料は高級車のみでいきます。QQコールは、インターナビプレミアムクラブの中でもさらにプレミアムなサービスである、という位置づけは今後も変わりません。しかし、QQコールの普及には今後、力をいれていきます。365日24時間、クルマを守るロードサービスを(自動車メーカーとして)提供するのは、何よりお客様にとってメリットが大きいと考えています。また販売店においても、休日や夜間に大切な顧客の緊急対応をQQコールが担いますから、その点でメリットがあります。
――QQコールは位置づけやサービスの性格的に他社のオペレーターサービスと異なると思います。ホンダはオペレーターを使ったサービスの今後について、どう考えていますか。例えば、日産は以前からオペレーターサービスをテレマティクスの標準的な機能と考えていましたし、トヨタもオペレーターサービスをG-BOOKの標準機能にしましたが。
今井 ええとですね、もう開発は終わりました。それで11月からトライアル(試行サービス)に入ります。現在のインターナビプレミアムクラブ会員の中で、希望者を募って、半年間のトライアルを行います。
――なぜトライアル期間を設けるのですか?
今井 サービスの利便性や必要性についてユーザーの真意を探るとともに、ホンダではオペレーターサービスを有料で提供する方向で検討していますので、「いくらなら使うのか」といった価格の部分についても会員の反応を見たいと思います。
――ハードウェアの変更はありますか?
今井 ありません。QQコールの仕組みをそのまま使います。
――しかし、それではカーナビのリモート設定ができないのではありませんか?
今井 うちはカーナビのリモート設定をしない方向で考えています。お客様の(声による)指示によって情報を調べて、位置情報はメールとしてお客様のインターナビ端末に送る形で考えています。その地点情報をクリックすれば目的地設定できます。
――ということはリモートによる目的地設定ではなく、オペレーターによる目的地検索に重きを置いているわけですね。ここは他社の有人オペレーターサービスとずいぶんと違いますね。
今井 これはですね、実はすでに会員向けに意識調査も行っているのですが、うちのお客様は今あるような(リモート設定を目的とした)オペレーターサービスのニーズが少ないんですよ。
――それはリテラシーの差ですかね。オペレーターサービスはカーナビが使いこなせる人はあまりメリットを感じないですから。
今井 そう、「そんなものいらない」と言うんです。(苦笑)
――ただ、リモコンだと純正カーナビは運転中に操作できない。オペレーターサービスは運転中でも、ハンズフリー通話によって目的地の検索や設定ができるのが便利です。
今井 でも、今は(機械による)音声認識システムもずいぶん精度が上がりましたからねぇ。うちも標準装備でいれています。
――あとオペレーターサービスは、「カーナビすら操作できない」ユーザー層、例えばケータイやATMの操作にすら抵抗感を覚える方々に、カーナビやテレマティクスの情報を使ってもらうために必要なサービスだと思うのですが。
今井 そういう意味だと、インターナビユーザーはリテラシーが高い方が多いですね。
――ホンダ車オーナーは、カーナビくらい使いこなせるリテラシーをお持ちの方が多い、と。だから目的地のリモート設定といった機能もあまり必要性がない。
今井 それは、そういう(ハイテク装備に抵抗感がある)お客様が求めるような高級車がない、という事なんですけどね(笑)。
――だから、「ホンダのオペレーターサービス」は、オペレーターをカーナビやテレマティクスの垣根を低くするために使おうという他社のサービスとは、方向性が異なってくるわけですね。
今井 それを現在、考えているところです。11月からトライアルとしてオペレーターサービスを導入する意味は、そこにあります。
――具体的には?
今井 例えばですが、「青山一丁目に11月10日の午前10時までに行きたいんだけど、自宅は何時に出ればいい?」とオペレーターに質問してください。渋滞予測情報やフローティング情報を用いて、いつごろ出発して、どのルートを通ればいいのかお答えします。
――なるほど、到着時刻から出発時刻を割り出すサービスですね。それだとクルマの中よりも、自宅や会社から電話したい。
今井 そうです。オペレーションセンターには車外からも電話できるようにして、そういう方向性を狙っています。クルマに乗る前におおよその出発時間をオペレーターに調べてもらい、クルマに乗り込むとカーナビ設定用のメールが届いていて、目的地リンクをクリックすれば渋滞情報を加味してルート案内が始まります。
――それは他社とは大きく違いますね。ちなみに他社が行っているような、周辺施設検索やグルメ・観光地スポット情報の提供は行わないのでしょうか。
今井 できる限りのことはやりますが、そこをメーンにするつもりはありません。それよりもドライバーにとって切実な情報の提供ですね。例えば緊急病院や24時間営業しているガソリンスタンドといった情報の提供に特化しようと考えています。できるだけ会費を安く、しかも(お客様にとって)価値ある情報に絞ってサービスを提供していこう、と。
――他社のオペレーターサービスは、「操作の代行」の色合いが強く、カーナビやテレマティクスサービスのベーシックな部分に根ざすものですが、ホンダの目指す方向性は違う。QQコールと同様に、ベーシックよりはプレミアムな位置にあるサービスなのですね。
今井 インターナビプレミアムクラブの付加価値サービスという位置づけですね。カーナビ操作が苦手な方がお使いになる事もあるでしょうが、それが主目的ではありません。
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