三菱ふそうトラック・バスが今夏に発売するハイブリッドトラック『キャンターECO HYBRID』は、2、3トンクラスのハイブリッドトラックとしては日野自動車の『デュトロハイブリッド』、いすゞ自動車の『エルフハイブリッド』に続く3番手だ。それらを比較してみると、ハイブリッドシステムの作りや考え方も三者三様で面白い。
2003年、先頭を切って登場したデュトロハイブリッドは、4リットル直4ターボディーゼル(150ps・40kgm)のフライホイール部にモーター(31ps)を装着する、もっともコンベンショナルなシステムを使っている。
バッテリーモジュールはエスティマハイブリッド用のニッケル水素で、トータル電圧は274V。モーターは常時、エンジンのクランクシャフトと等速で回転しており、モーターアシストの制御はもっとも容易である半面、エンジンブレーキがかかってしまうため減速時の回生効率は低めで、モーターのみによる走行もできない。エンジンパワーは3モデルのなかで最強だ。
2番手のエルフハイブリッドは、パラレルハイブリッドながら通常のパワートレインとモーターを完全に別体化したユニークな構造を取っている。
エンジンは4.8リットル自然吸気(130ps・34kgm)で、トランスミッションは機械式ATのスムーサーEオートシフト。この駆動軸にPTOという動力接続装置を介して、モーター(34ps)がアシストパワーを伝えたり、逆に駆動軸から減速エネルギーを回収したりする。
バッテリーはリチウムイオン電池だ。減速時にクラッチを切ることで回生効率を上げているほか、ハイブリッドシステムに異常が起こってもPTOの接続クラッチを切れば、普通のトラックとして走行可能という特徴を持っている。ちなみにモーターのみでの発進はできない。
キャンターECO HYBRIDは小排気量の3リットルターボディーゼルと、パラレルハイブリッド用としてはかなり強力な47psモーターを組み合わせており、先発の2モデルに比べると、モーターへの依存度は高め。
また3モデルのなかで唯一、モーターのみでの走行が可能であるなど、市街地モードでの省エネルギー化もさらに進めている。後発ではあるが、商品の訴求力はじゅうぶんに備えているといえる。