三菱ふそうが苦肉の策、工場の従業員を“出稼ぎ”でバスの運転手に[新聞ウォッチ]

三菱ふそうバス製造が工場の従業員をバス運転手として派遣する事業を始めるという(写真はイメージ)
  • 三菱ふそうバス製造が工場の従業員をバス運転手として派遣する事業を始めるという(写真はイメージ)

観光や路線バスの運転手が不足して、通常運行ができないで減便や廃止が相次いでいるという気の毒なニュースをよく耳にするが、バスを製造する自動車メーカーも共倒れを防ぐためには、やむを得ない苦肉の策なのだろうか。

三菱ふそうトラック・バスが、年内にもバス運転手の人材派遣を始めるという。同社が発表したもので、きょうの各紙にも「バス工場の従業員を運転手に、三菱ふそう検討」などと取り上げている。

自動車メーカーが人材派遣を手掛けるのは珍しいが、子会社でバスの生産を担う三菱ふそうバス製造(富山市)が人材派遣の許認可を取得し、観光・路線バスの運行会社にバスの運転手を派遣する事業を始めるそうだ。

トラック運転手などの労働規制が強化される「2024年問題」は、バス業界にも影響が出ており、4月1日から拘束時間や勤務間インターバルの制限強化で人手不足が深刻化し、減便に踏み切る運行会社が後を絶たないようだ。

バスメーカーにとっても、路線の減便・廃止が増えれば、バス事業の売り上げに影響する。現在、三菱ふそうバス製造には約700人が在籍。バスのメーカーは完成車を点検するために大型免許を持っている社員が多く、また、派遣する従業員にはバスの運転に必要な大型2種免許の取得支援にも取り組むという。今後はバス事業者の需要を見極めたうえで、「本格的に事業化に踏み切るかについても検討する」とも伝えている。

それにしても「働き方改革」とはいえ、運転手不足は、まるで日本の高度成長期を支えた「出稼ぎ農民」を彷彿するように、バスを製造する工場の従業員までが、繁忙期などに観光・路線バスの運転手に“転身”しなければならないほどの深刻な問題であり、賃金などの待遇改善も喫緊の課題だろう。

2024年4月16日付

●円安一時154円台、34年ぶり水準、米利下げ観測後退(読売・2面)

●株一時700円超下げ、中東緊迫化リスク回避 (読売・7面)

●グーグルがヤフーに広告制限、公取委調査配信させない契約疑い (朝日・1面)

●バス工場の従業員を運転手に、三菱ふそう検討、繁忙期など派遣 (朝日・6面)

●首相処分なし78%納得せず、内閣支持率なお低迷23%、共同通信世論調査(東京・2面)

●トヨタ米への投資着々、米大統領選2024「やるべきことは変わらない」 (東京・4面)

●運転「卒業」後の移動手段検討を、高齢者増、日本老年学会が提言 (東京・6面)

●原油、くすぶる先高観、輸送網や需給市場見極め(日経・3面)

●Opinion=テスラの踊り場とアップル (日経・7面)

●従業員10%以上削減か、テスラ、EV販売減に対応 (日経・13面)

●独ボッシュ、横浜に本社を移転 (日経・33面)

《福田俊之》

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