ピックアップトラックだけではない…タイの商用車事情をモーターショー&現地取材で探る

タイでオリジナルのEV商用車を販売しているNEX Point
  • タイでオリジナルのEV商用車を販売しているNEX Point
  • Daimler Commercial Vehicles Thailand CEO Ralf  Kraemer氏
  • メルセデスベンツの新型EVトレーラーへッド、eアクトロス300
  • 三菱ふそう eキャンター
  • いすゞ D-MAX
  • タイ国際モーターショーではいすゞD-MAX BEVプロトタイプが初お披露目となった
  • トヨタ・ハイラックス(2GDエンジン搭載)
  • スワンナプーム空港のシャトルバスはEV化されていた

タイは自動車市場の半分近くがピックアップトラックという特殊な市場だ。だが、それだけではない。バンコクモーターショー2024(第45回タイ国際モーターショー、Bangkok International Motor Show)とDaimler Commercial Vehicles Thailand(DCVT) CEO Ralf Kraemer氏を含む現地取材を元に、タイにおける商用車の状況を報告する。


◆商用車市場にも見えるNEVと中国勢の動き

日本では、これからのEV市場の鍵を握るのは商用車ではないか、という議論がある。日産『サクラ』や三菱『eKクロスEV』のヒットにより、ラストマイル輸送や地域交通や移動手段としてEVの利便性や可能性が認識されたからだ。ホンダが『N-VAN』のEVを発表すると、三菱・日産は相次いで『ミニキャブ』と『クリッパー』にEVモデルを設定。自治体やロジスティックス業界の脱炭素ニーズもあり、乗用車とは違ったEVムーブメントが起きている。

同じような現象はタイ市場でも起きているのか。結論からいうと、2024年3月の時点でトラック・バスなどの商用車に大きな動きは見られなかった。タイに滞在している間に、商用車でEVを見たのはGrabのタクシーと空港のシャトルバスくらいで、タイにおいて街中を走行しているEVトラックを見ることはなかった。

だが、タイにEVトラックが存在しないわけではない。バンコクモーターショー2024の会場に「NEX Point」という会社が小型トラック、デリバリーバン、ピックアップトラック、大型トレーラーヘッドのEVを展示していた。NEX PointはIT系の会社だった。2020年に自動車工場を買収し、中国「SUNLONG」(上海)の下、電気バスの製造販売を開始した。タイ国内に電気バスの導入実績もある。

日本でも、中国のメーカーや工場との提携・JVによって小型のデリバリートラックや電気バスを国内展開するベンチャーが存在する。タイでも同様のスキームがすでに成立している点は注目だ。

◆タイならではの商用車:ピックアップ・大型トラック・観光バス

そもそもタイにおける商用車の市場はどうなっているのか。ひとつの大きな特徴はピックアップトラックが物流にも大きく関わっているという点だ。アジアにおけるピックアップトラックは、いすゞ『D-MAX』やトヨタ『ハイラックス』が2強であり、タイにおいては、車両販売の45.7%がピックアップトラックであり、その約45%がいすゞD-MAXが占めている。トヨタハイラックスは37.8%。残りの17%を日産『ナバラ』やその他の輸入車勢となっている。

いすゞ D-MAX

《中尾真二》

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