「アジアクロスカントリーラリー」でチーム三菱ラリーアートが優勝を遂げた4日後。バンコク郊外で開催されたバンコクモーターエキスポの会場において、三菱自動車タイランドの社長、小糸栄偉知氏に話を聞いた。
◆ラリーアート優勝を三菱ファン獲得につなげたい
----:社長まずはアジアクロスカントリーラリー優勝おめでとうございます。東南アジアはモータースポーツが熱いですね。
小糸社長:ありがとうございます。そうですね。私はタイに赴任する以前はインドネシアにいて、インドネシアでモータースポーツを通じて三菱自動車のファンを獲得することに成功していました。今回118号車をドライブしたリファット(・サンガー)選手はインドネシアのドライバーで、もう13年になるのですが、彼に協力してもらってモータースポーツ関連のイベントを数多く開催してきたのです。リファットにクルマをドライブしてもらって、その助手席にお客様に乗っていただくといったようなイベントを行っていました。インドネシアではモータースポーツ色でブランドが作れている。タイではそうしたイメージがちょっと薄まってしまっていたので、これを機に盛り上がっていきたいと思っているのです。
三菱自動車タイランド社長の小糸栄偉知氏----:ちょうど1年前のバンコクモーターエキスポでラリーアートブランドの復活が発表されのですよね。
小糸社長:今までラリーアートというブランドを持っていながら、約10年間それを生かせずにいました。それを昨年のこのバンコクモーターエキスポの場で活動を復活させると宣言し、ちょうど1年でこの場に帰ってきて、最高の結果を報告できたということになります。今回のラリーの結果が出る以前に、ラリーアートバージョンなどのモデルを発表し、それらが単なるステッカーじゃないかと言われることもあったのですが、こうやって結果を残したことで、ラリーアートがいかにポテンシャルのあるものか証拠を示せたと言え、とてもうれしいです。今回の競技車はほとんど市販車に近いものです。これは三菱の市販車がいかに素晴らしいものであるかを証明していることにもなります。
----:社長がインドネシアで感じたモータースポーツによって市場が拡大し、クルマに対する信頼度が高まるといったことを、ここタイでも実現したいというお気持ちでしょうか?
小糸社長:話をさかのぼると2009年のことになります。当時、インドネシアでもっとも成功させたかった車種は先代の『パジェロスポーツ』でした。パジェロスポーツのよさをアピールするには、源流に流れているモータースポーツであろうと考えたのです。そこでパジェロスポーツにパリダカ風のラッピングを施したクルマを製作し、インドネシア中を回って同乗イベントを行いました。増岡浩総監督にも来ていただきましたし、リファットとはもう13年も付き合いあってイベントに協力してもらっています。そうやって、地道に活動したことでしっかりとブランドイメージを確立できました。ここ(タイ)でもできないわけがないという気持ちはあります。
バンコクモーターエキスポのメインステージにはアジアクロスカントリーラリー優勝車と、新たにサポートを行うサーキットレース用トライトンが飾られた----:今回の優勝は今後の販売戦略にも大きく影響しますか?
小糸社長:今後、今回優勝したチャヤポン(・ヨーター)選手のドライブで横に乗ってもらうイベントなども考えています。『トライトン』やパジェロスポーツによるオフロード走行や『ミラージュ』を使ってのジムカーナ走行なども考えています。また、43度の勾配のある坂を上って下りるスロープキットを利用した試乗などもやりたいと思っています。こうしたモータースポーツに関係する活動を通じて、ファンを獲得していきたいと思っています。
----:今回のアジアクロスカントリーラリーでの優勝は、社長の考える方向性にピッタリとハマりますね。また来年、優勝したトライトンとともにお話が聞ければ幸いです。本日はありがとうございました。