【新聞ウォッチ】日産 強気の上方修正、業界はジレンマ

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志賀COOとマーチ新型(資料画像)
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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2010年11月5日付

●尖閣ビデオネット流出、44分、中国船名一致、ユーチューブ、海保「本物の可能性」(読売・1面)

●パナソニック、テスラに出資、EV電池共同開発(読売・10面)

●西友元社外取締役を調査、監視委、インサイダー容疑(朝日・1面)

●円高一服、続く警戒感、市場「年度内、最高値も」(朝日・12面)

●日産、営業益3.5倍、中間決算、新マーチ好調(朝日・12面)

●中国での生産、三菱自が強化、広州汽車と新合弁(朝日・12 面)

●通貨安競争に拍車、米の緩和策、新興国直撃、過剰資金、バブル寸前(毎日・1面)

●ヤマダ売上高1兆円、家電量販店中間期で初(毎日・8面)

●化学大手、全社増収、9月中間(産経・10面)

●早い就活企業も負担感、67%が問題視、商社・銀行、正常化検討(東京・1面)

●接近通報装置、EV標準装備三菱自「アイ・ ミーブ」(東京・8面)

●工業排水からレアメタル、森下仁丹など、回収技術を開発(東京・9面)

●最新鋭エアバスエンジン火噴く、シンガポールで緊急着陸(東京・27面)

●企業業績修正、上方が6割、今期予想、コスト削減寄与(日経・3面)

●ヤマハ発、310億円黒字、1〜9月最終、新興国の二輪販売増(日経・15面)

ひとくちコメント

「日産は、グローバル経営環境の逆風に対して、冷静に対処する術を心得ている」。日産自動車の志賀俊之最高執行責任者(COO)は、2010年度上期決算の発表会見で、急激な円高など、コントロール不可能な逆風下でも、今期の業績予想を大幅に上方修正したことについて、こう語った。

日産は、2011年3月期の連結業績予想について、営業利益は当初予想の3500億円から4850億円に、最終(当期)利益は1500億円から2700億円に上方修正。売上高も当初予想より5700億円多い8兆7700億円を見込んでいる。今期通期のグローバル販売台数も従来の380万台から410万台に修正。市場シェアは前年の5.5%から5.8%に引き上げることを予想している。

きょうの各紙にも「日産、純利益4倍、7〜9月、中国や国内好調、通期見通し上方修正」(日経)、「日産、最終益23倍」(産経)などと、景気のいい数字が紙面を飾っている。中国をはじめ、アジア、アフリカ、南米、中東などの新興国が好調で、国内でも小型車『マーチ』など新車投入やエコカー補助金が後押ししたという。

ただ、下期は円高傾向が続くとみて想定為替レートを上期の1ドル=90円から80円に、1ユーロ=120円から110円に修正。その結果、通期で1850億円の営業減益要因となるが、「適切な商品、適切な技術、適切な取り組みで、成長を続ける態勢が整っている」(志賀COO)としながら、国内販売のシェア拡大や現地化の加速、コスト削減で吸収することを目指すという。

急激な円高などにも日産のような「冷静に対処する術」を心得ている大企業はともかく、海外進出もままならない下請けの中小・零細企業はお手上げ状態。日本自動車工業会の会長職でもある志賀COOも、業界全体の立場から「車のものづくりは大変な状況で、大きなジレンマにぶつかっている」と危惧を抱く。

《福田俊之》

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