アルファロメオ『164』や初代ランチア『Y』(イプシロン)を手がけたことで知られるカースタイリスト、エンリコ・フミア(58歳)はこのほど、新作のデザインスタディ、ランチア『J』を発表した。
これは、今年がランチア創業100周年であるのを記念し、フィアットの承認を得て製作したもの。アイデアのスタートは、昨秋催されたフミアと日本の熱心なランチア愛好家たちとの交流会だったという。したがって「J」はJapanを意味する。
2日にトリノの自動車博物館で公開されたのは1/4モデルだったが、想定している外寸は4800×1860×1498mm。現行『テージス』と比べると短く広く高い。現在のランチアのラインナップに欠けているレインジで、往年の『テーマ』のヒットを再びランチアにもたらす商品性を模索した。
デザインにあたってフミアは、古典美ではなく、ランチアというブランドがもつ格式を追求したことを強調する。
基本的なモティーフは「波」で、バンパーやサイドのクロームでそれが反復されている。この象形化されたモティーフを繰り返す手法を、デザイナーは「漢字デザイン」と命名している。
だが何より注目すべきは、シンメトリー(対称)デザインが多用されていることである。前後パンパーやサイドシルはもちろん、右前と左後フェンダー、左前と右後ドアなども共通のパネルを使用する。これによって、開発・生産・物流コスト低減を図れるという提案だ。
なお、このランチア『J』のモデルは、ネーミングの元ととなった日本でも近日公開される予定である。