【特別寄稿】エンリコ・フミアが語るカーデザインの10年…レスポンス10周年に寄せて

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エンリコ・フミア氏
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  • 現在のレスポンスのロゴはフミア氏によるものだ
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10月3日、「レスポンス」が10周年を迎えるにあたり、レスポンスのロゴデザインを担当したイタリア人カーデザイナーのエンリコ・フミア氏がこの10年を振り返るコメントを寄せた。

同氏は、カロッツェリア・ピニンファリーナやフィアットグループでカーデザインを担当、アルファロメオ『164』『スパイダー』、ランチア『イプシロン』、マセラティ『3200GT』などを手掛けた。また、自動車以外にユピテルのレーダー探知機、スーパーキャット『SG-500DW』や、建築、文具、ロゴデザインなど、自動車以外のデザインワークも数多く手がけている。

同氏は弊誌の変革と発展に触れながら、「成長に終わりはありません。自動車の使われ方も近年大きく変化しました。日本で誕生したハイブリッド車は、大きな市場シェアを獲得し、近い将来電気自動車もそのポジションを得るでしょう。技術的な面から言えば間違いなく革新的なできごとだと言えますが、デザインにはその革新性が反映されていないのが現状です」と語る。

また、「カーデザインはこの10年間で大きなデザイン刷新の機会を逃したのみならず、スタイリングの品質改善、特に個性的デザインの実現という部分での成長がみられませんでした」と指摘。

更に、「ボディ全体からランプ類のディテールに至るまで、今日の技術進歩により、スタイリングの自由度はかなり大きくなっているはずですが、実際のデザインはどれも似たり寄ったりになってしまっています。なぜこのようなことになってしまうのでしょう。質の高いデザインはみられず、表現する上でのロジックに欠けた行き当たりばったりのラインばかりが散見されます」と警鐘を鳴らす。

この複雑かつ長大なトピックについては、今後改めて議論を展開していく考えだとし、最後に「今日、過去、そして未来のカーデザインの世界に対する飽くなき興味にお応えしていきたいと思います」と抱負を語っている。

レスポンスは1999年よりスタートした「オートアスキー」を前身とする。2002年に当時のIRIコマース&テクノロジー(現イード)に事業移管され、2003年10月3日に「レスポンス」というサイト名称で再スタートを切った。現在までの記事総本数は23万5000本を超え、1日平均100本程度の自動車/モビリティ関連ニュースを配信している。

エンリコ・フミア|カーデザイナー
1948年トリノ生まれ。弱冠16歳にしてベルトーネの新人コンクールで優勝し、76年にピニンファリーナに入社。スタイリングからエンジニアリング、試作モデルの制作などに携わった後、技術研究所のモデル試作部長を経て、88年には同社のデザイン開発部長に就任。91年にフィアットに移籍してランチアのデザインセンター所長に、96年には同社のアドバンスデザイン部長となる。99年に独立、2002年にはデザイン開発やエンジニアリングのアドバイザリーとしてフミア・デザイン・アソチャーティを設立した。2009年にはデザインスタジオを設立するなど、現在でもカーデザイン/インダストリアルデザインの第一線で活動を続けている。


《レスポンス編集部》

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