初代『プリウス』で開発されたTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)は、シリーズ式とパラレル式の長所を引き出す機構であるのが特徴です。
構造として注目すべき点は、ハイブリッドトランスミッションの中にある動力分割機構と、モーターと発電機を別々に装備することです。
動力分割機構は、1.5リッターエンジンの動力を、走行のための駆動力と、発電のための動力に使い分けします。これによって、走行中にもバッテリーに充電することができ、いつでもモーターを稼動できる状態にします。また動力分割機構は、エンジンとモーターを駆動力として併用する機能も備えています。
モーターと発電機の両方を備えることで、モーターで走行しているときもエンジンを動力に発電機を動かし、電力を供給することができます。
発電機は、その回転数を電気的に無段で上下させることにより、エンジンを効率よく運転させる無段変速機の働きもします。
減速時には、回生を利用し、駆動モーターを発電機として働かせることにより、バッテリーに充電します。
モーターが1つしかないパラレル式では、バッテリーの電気を使いきってしまうと、次の減速で回生により発電するまで、モーターの駆動力を得ることはできなくなります。
THSの1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンには、高膨張比をもたらすアトキンソンサイクルが応用され、熱効率を高めています。ガソリンエンジンとモーターの長所を生かし、最高の効率でクルマを走らせることを目指すハイブリッドカーとして、モーターをつねに働かせることのできるTHSは、ハイブリッドカーの究極を追求した機構です。 |
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シリーズ式。おもに路線バスなどのハイブリッドバスに用いられている方式 |
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パラレル式。中型トラックや乗用タイプなどクルマの大小にかかわらず多く採用されている |
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