---- ところで今回の地図リアルタイム更新では、「主要道」という表現がされていますが、この主要道の定義はどのようになっているのですか。
今井 交通ネットワーク上で重要な道路と考えていまして、高速道路はもちろんですが、例えば「環状八号線が延伸する」といった一般の主要幹線道路の大きな変化も対象にしています。
システム側としては、あらゆる道路の変化にリアルタイム更新をかけられるのですが、事前調査・作成・検証のプロセスでこれまでより費用がかかりますから、利用量などを鑑みて"交通ネットワーク上で重要な変化"に対応するものとしていきます。
---- リアルタイム地図更新は工事図面から作るということなので、やはりコストや工数はかかるのでしょうか。
今井 かかります。ですから、我々としては、できるだけ多くの道路変化に対応したいのですが、どうしてもコストパフォーマンスを見ながらとなってしまうのですよ。
---- 工事図面はどのように入手されるのでしょう。公開制度のようなものがあるのでしょうか。
今井 そこは一律に整備されているわけではなくて、各高速道路会社や道路を管理する自治体ごとに異なる部分ですね。全国的な工事図面の公開制度などがあるわけではないので、地図メーカーさんは過去からずいぶんと苦労してきた部分です。
---- 工事図面が提供されない、ということが多いのでしょうか。
今井 それよりも提供のされ方に課題がありますね。例えば、「紙の工事図面がそのままFAXで送られてくる」というケースなどは多いのですが、これだと細かな部分が読み取れなかったりしてデジタル地図作成では使えない。また、工事図面が提供されるまで時間がかかる、工事中に現場で起きた変更点が提供された工事図面に反映されていなかった、というようなことも多くあります。
しかし、その一方で、たとえば沖縄県では観光客がレンタカーを使うことが多く、「カーナビの地図」に新しい道路や施設が反映されていないと観光振興の点で大きなマイナスです。そこでデジタル地図開発向けの情報開示に積極的でして、内閣府沖縄総合事務局が施工業者から電子化された工事完成図面の提出を受けて、それを保存・開示するスキームが完成しています。日本の中でも、工事図面の電子化と活用で最も進んだ取り組みをしている地域ですね。
---- リアルタイム地図更新におけるドライバーの利便性向上はもとより、今後でみれば先進安全機能にもカーナビ地図は使われていきます。カーナビのデジタル地図は、クルマにとって重要な"インフラ"のひとつになっていく。そう考えると、各自治体や高速道路会社が工事図面の電子化・バージョン管理をしっかりと行い、積極的に開示するのは重要な取り組みですね。「道路はすべてのドライバーのもの」なんですから、地図を作るために必要な情報がいち早く公開されて、できあがったばかりの道路でもドライバーがすぐに活用できる環境を作らなければならない。沖縄県の取り組みは高く評価できますし、同様のスキームが広がって欲しいですね。
今井 まったくその通りです。できるだけ地図を新鮮に保つというのは、今後さらに重要になりますから、(電子化された)共通フォーマットで工事図面が全国一律で提供される仕組みが必要です。そのためには(リアルタイム地図更新を)お客様に支持していただき、古くならない地図を求める"ユーザーの声"が高まることも大事だと思います。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
《写真:石田真一》
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