---- 2007年以降は「地図の改変ラッシュ」ともいうべき状況で、カーナビにとって"デジタル地図の更新"は最重要課題になりそうです。実際、ホンダのインターナビだけでなく、トヨタのG-BOOK mXもテレマティクスによる地図更新に対応してきましたね。
今井 うちとしてはトヨタさんが投入してきたから、ではないのですけどね(笑)。 我々は3年前から(主要道リアルタイム地図更新を)企画していました。その時から「主要道の新設路線がオープンしたら、当日中にカーナビの地図も対応する」というコンセプトで、カーナビ地図のフォーマットからすべて変えてきました。
---- 3年前から「リアルタイムで地図差分更新をする」というコンセプトだったのですか。
今井 そうです。ですから、地図フォーマットだけではなく、地図作成プロセスまで含めて見直す必要がありました。
具体的にどういうことかというと、今までのカーナビ地図は新規道路が開設されたら現地調査をして地図を製作、最後に検証してリリースするというものでした。これだと開通から地図としてお客様にお届けするまで1年くらいかかってしまう。これではリアルタイムで地図更新はとてもできないわけです。
そこで主要道リアルタイム地図更新では、あらかじめ工事図面を入手し、あらかじめデジタル地図を製作しておくという手法をとっています。現地確認が必要ならば、飛行機を飛ばして(工事状況を)空撮・確認する。実はリリース前に何回か(工事図面からのデジタル地図作成を)検証したのですが、この手法でもカーナビとして使える地図が作れることがわかりました。また、もし万が一、工事図面から作ったデジタル地図と実際の道路に若干のズレが生じても、そもそも地図更新に対応していれば、後から修正も可能です。ならば、"リアルタイムで地図更新できる"メリットの方を取ろうということで、今回の主要道リアルタイム地図更新を実現しました。
---- 地図製作から配信といったプロセス、さらに地図フォーマットまで作り替えたことで、初めて「リアルタイム地図更新」が実現できた、と。
今井 そのくらい大変なんですよ。(デジタル地図の)全体像を作り替えないと、地図の差分更新機能に対応しています、といっても地図の配信や交信に時間がかかって、お客様に「地図更新対応というのに、なかなか地図が更新されない」と不満を持たれてしまいます。インターナビの場合ですと、差分更新で配信する地図データの量は数十キロバイトと小さいですし、更新作業も早い。地図のダウンロード後、カーナビの再起動をすればすぐに新たな地図が反映されます。地図更新をやるからには、現実的な内容で、お客様にとって使いやすく、その効果を実感していただけるものでなければなりません。
---- 今回、主要道は通信経由でリアルタイム更新するわけですが、年次更新のような形で全国地図の一括更新も続けるのですよね。
今井 続けます。こちらはDVDを配布する形で行いまして、容量的にはかなり大きいですから、最初のデータ取り込みでは30分ほど時間がかかります。しかし、その後はドライバーが使っているエリアから順次地図更新をしていく手法をとっています。この作業はバックグラウンドで行われますので、ドライバーが気づかないところで全国版の地図年次更新が終わっているという形になります。
少し自慢をさせていただくと、この"カーナビを使いながらすべての地図を更新していく"というのも、すごい技術なんですよ(笑) うちの開発陣が頑張ってくれました。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
《写真:石田真一》
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