top interview by Teruo Ikehara
インフラ整備について積極的に関与する
――交通事故での死亡者は2005年に49年ぶりに7000人を下回りました。政府はIT新改革戦略で2012年までに5000人を切る目標を掲げていますが、さらなる「安全」にはどう取り組みますか。

 大変重要な目標であり、自工会としても何としても達成に向けて働きかけていきたい。自動車の側からはエアバッグをはじめ衝突安全の技術や衝突回避をアシストする技術などを進めてきました。これでいいというわけでは決してありませんが、かなり進んできた。

これからはまさにITSのように道路とクルマとの協調システムが非常に大事です。自動車側の努力も進めますし、道路側のインフラから情報をもらって安全を高める余地もまだまだあります。道路については、やっていただくのは官(政府)の場合が多いかも知れませんが、われわれも中に入って積極的に取り組んでいきます。

――魅力的なクルマづくり、あるいは環境・安全技術への取り組みを発信していくうえで東京モーターショーの役割が大きいと思いますが、今後どう方向付けしますか。

 東京モーターショーの重みが増しているだけに、できるだけ未来を見据えたクルマなり技術の発信を充実させたものにしたいですね。世界でも遜色のないショーになっていますが、さらに各社にお願いして技術の進歩を見ていただく場としていきます。

――国内市場の活性化のためにも2年に1度でなく、欧米の主要ショーのように毎年開催するというのはいかがでしょう。

 貴重なご意見としてうかがっておきます(笑)。色々なご意見をうかがって、理事会に諮るようなこともあっていいと思います。
張富士夫
張富士夫(ちょう・ふじお)
1960年東大法学部卒、同年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。生産調査部でトヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏から直接、薫陶を受ける。88年に取締役となり、初の米国単独工場であるトヨタモーター・マニュファクチャリング米国(ケンタッキー州)の社長に就任、立ち上げに尽力。94年トヨタ常務、96年専務、98年副社長を経て99年に社長。2004年3月期には連結純利益を1兆円に乗せるなど事業基盤を大きく拡大した。05年から副会長、6月下旬には会長に就任予定。5月の定時総会で自工会会長に就任。東京都出身、69歳。
池原照雄
池原照雄(いけはら・てるお)
1977年北九州市立大卒。日刊自動車新聞、産經新聞などで自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリー。著書に『トヨタVS.ホンダ』(日刊工業新聞社)。山口県出身。

インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:竹内征二
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Page 2当面は一般財源化問題、税制改革はコツコツと
Page 3業界維持のベースラインは、国内生産1000万台
Page 4国内市場成長を阻むのは業界外の要因
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