張 海外で生産していても、開発の主体は日本ですし、工程設計とか設備も日本が中心です。そうした大事なところを維持するのはベースとなる生産規模を日本に置かなければなりません。
――開発技術も生産技術も足元で最先端のものを生み出すということですね。
張 そうですね。私が昔、米国(ケンタッキー工場)に居た時は、自動車100年の歴史で日本は何も技術的に貢献していないと言われて悔しい思いもしたのですが、いまは欧米に負けないくらい色々な技術で頑張っているのではないでしょうか。そのためにも現場をもつことが重要なのです。
――1000万台維持のためには、国内市場もしっかり開拓しなければなりません。
張 全体の市場が伸びるには、もっと景気が回復するとか、税制が変わるとか、道路が整備されて便利になるとか、時間がかかる外部的な要因が多いのが実情かも知れません。
ですから、われわれとしては魅力あるクルマづくりに全力をあげることだと思っています。トヨタの場合だと『プリウス』なんかは、いまだに何カ月も待っていただいています。これ以上、国内市場がガタガタと減ることはないでしょうが、われわれとしては、もっと市場の声を聞いて魅力あるクルマづくりに頑張るしかありません。
1000万台のうちの400万台くらいは輸出ですが、中東や南米、アフリカといった地域では自動車工業がない国が多く、完成車として受け取っていただける。ですから輸出も大事にしていかなければなりません。
各社とも海外で現地生産しているのは量的に売れるクルマです。量が出ないクルマでも各地への輸出をまとめると、相当なものになります。当社(トヨタ)の場合、レクサスやハイブリッドなどは日本が中心ですが、そうした輸出に合致したクルマ、輸出可能な国もあるので、国内市場とともに、1000万台を補完することは可能だと見ています。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:竹内征二
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