――事業方針の柱のひとつである「グローバル化への対応」は、どのような点に留意して進めますか。
張 グローバル化は1980年代半ばから各社が海外進出に積極的に取り組むことで始まったのですが、この20年間で海外生産は1000万台/年を超えるまでになりました。国内も同規模ですが、これからも世界的には成長産業であり、自動車の需要はまだまだ増えるだろうと見ています。
その際、われわれの生産も海外の方が拡大するでしょうし、主にBRICsで増えていくことになるでしょう。共産主義あるいは共産主義的な政治体制で来て、自由主義体制に転換している国が主体となりますので、各国で、できるだけスムーズに生産や販売の拡大が進むように、自工会としてできることがあれば取り組みたいと考えています。
――そうした国々で事業を進めるうえでの懸念はありますか。
張 やはり、まだ規制が多いということはありますね。中国だと2つのカード(合弁先)があって、それぞれの合弁会社で生産・販売の事業を進めなければならないといったことです。しかし中国もWTO(世界貿易機関)に加盟して、どんどん変わっている。規制が取れていく過程ですから、われわれも市場の育成にお役に立てればと考えています。
――グローバル化の一方で、国内生産は1000万台規模を保持したいということですが。
張 これはすごく大事です。われわれも先輩からよく言われたのですが、現場がないところでの技術開発というのは、競争相手に1歩も2歩も遅れてしまうぞ、ということです。常に現場をそばに置いておくことが大切です。
これからのグローバル競争というのは技術開発競争になる。ある規模の現場を日本にもっていないと、サプライヤーさんも技術力を維持できないし、発展できなくなります。1000万台くらいあれば何とかキープできると見ています。
インタビュアー:池原照雄(経済ジャーナリスト)
写真:竹内征二
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