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人もクルマもマイナス6%
三浦 最後にCO2削減に関して、運輸部門はノルマを達成できそうですが、とはいえドライバーが自動車に乗ってCO2を排出していることには変わりはないわけです。

そういう中で、ドライバー一人ひとりがこれからやっていくべきことがあると思うんです。もっといえば、ドライバーそれぞれがマイナス6%を達成することが理想だと思います。それに向けた取り組みや啓蒙活動について、ご意見をいただきたいのですが。

八谷 一人ひとりの運転の仕方によって、自動車の燃費は1割から2割ぐらい違いが出てきます。 発進・加速で一番燃料を使うので、アクセルをベタ踏みをするような運転はしないで下さいということを、省エネルギーセンターを支援しながら国民運動的に呼びかけています。

また、エコドライブを全国に広めていくためのドライビングトレーナーの養成にも、自工会から何人か中心になるドライバーを派遣しています。

三浦 携帯電話で自分の燃費を入力する『e燃費』というサービスを、われわれ2000年から運営していまして、このユーザー平均燃費が、2001年の8.66km/Lに対して、2003年は8.94km/Lと、3.2%向上しています。

その間、10・15モード燃費平均が2%アップしているので、新車入れ替え分もあると思いますが、それにしても3.2%の向上は非常に大きいと思うんですね。

それはやはり、燃費を気にして毎回記録を付けている効果が出てきているからです。燃費というのはドライバーが意識すればするほど向上します。ドライバーが燃費のいい運転をしたい、燃費をよくしたいと思うところから始まるのではないかと思います。

八谷 おっしゃるとおりです。意識すればそれだけ運転の仕方が変わってくるわけですから。

日本には7千万台の自動車が走っていますから、誰もが意識すれば、それはすさまじい削減になります。 たとえ1%でも燃費向上すれば、約240万トンものCO2が削減できます。もし6%向上すれば、それはすごいことです。

三浦 この6%をクルマのハードウェアで解決することは、ものすごく大変なことですよね。

八谷 そうです。だけど人間がエコドライブによって6%改善するのは難しいことではない。ほんとにちょっとした心がけがとても大切なんです。
八谷道紀
八谷道紀(みちのり・はちや)
1972年 早大理工学部機械工学科 卒業
同年 日産自動車(株) 設計管理部に配属、海外の法規認証業務を担当
1982年 日産自動車 欧州駐在事務所(ブラッセル)に赴任
1986年 環境安全技術部海外認証課 課長として帰任
1993年 日産ワシントン事務所に赴任
1997年 帰任、環境安全技術部 主管
2001年 ルノー社 技術法規部に出向
2004年 帰任、環境安全技術部 担当部長
この間、国内外の自動車法規、認証および技術政策動向に関する情報収集とロビー 活動に従事

2004年 (社)日本自動車工業会 環境委員会・地球環境部会 部会長



三浦和也
三浦和也(かずや・みうら)
大学で建築を学んだ後、自動車雑誌編集者として、クルマ社会やITS、インターネット関連の企画取材を行う。「クルマはもはやITだ」と思い込んだ結果、1999年にアスキー社に移り、10月にクルマ最速ニュースサイト「オートアスキー」を創刊。 2000年にクルマネージャー「e燃費」を企画し、同年8月にサービス開始。取材者としてだけでなくWeb及び携帯電話のコンテンツプロバイダーとして活動する。 2002年11月オートアスキー編集部が(株)インターネット総合研究所に事業移管される。 2003年10月1日より「オートアスキー」を「レスポンス」とブランドチェンジする。新媒体はオートアスキーの創刊の精神を凝縮し、自動車専門ニュースは商品、ビジネス、社会の3方向からクルマを立体として捉え、特集コンテンツはIT、環境、デザインをクルマの新しい商品力としてさらに掘り下げる。 レスポンス編集長。
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Page 1自動車と社会の共存発展を目指して
Page 2環境と安全が二本柱
Page 3燃費改善は細かい技術の積み上げ
Page 4ディーゼルアレルギーは環境省にもない
Page 5制度も目的も不明確な環境税
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